100 < Side O > ページ2
ボロボロ泣き崩れる山田さんをなんとか事務所へ連れて来た。
「智くん、おかえり〜・・・・って、え？」
彼女を見るなりまーくんが驚きのあまり目を見開く。
「ゴメン、しばらく奥の応接室借りるね」
「えっ、えぇっ？」
「山田さん、こっちにどうぞ」
山田さんの手を引いて応接室へ案内し、一旦ソファに座らせた。
そして事務室に戻り、心配そうに立ち竦んでいるまーくんへ声をかける。
「今日はもう先に上がっていいから。
鍵は俺がかけとくよ」
踵を返すと、まーくんに肩を掴まれた。
「ねえ、何があったの！？」
「分かんない」
「はあ？」
「さっき突然声をかけられて。
俺に謝りたいことがあるって」
「何だよ、それ」
「とにかく。
長くなりそうだから、先に帰っていいよ」
「ちょっと待ってよ」
再び肩を掴まれ、俺は足止めを食う。
「僕も一緒に話を聞く」
「えっ？」
「心配だから俺も一緒にいる」
「でも・・・」
いくら一人でも大丈夫と言っても、まーくんは自分も一緒にいると言い張った。
根負けした俺は「分かったよ」とまーくんを同席させた。
「すみません、お待たせして」
応接室に戻ると、山田さんはまーくんまでいることに面食らっているようだった。
「大丈夫ですよ。
彼は同僚で、幼馴染でもあるんです」
「僕も一緒に話を聞いていいですか？」
山田さんは少し戸惑っていたようだったけど、ハンカチで目頭を押さえウンと頷いてくれた。
「ではさっきの話の続きなんですけど。
山田さんが私に謝りたいことって何なんですか？
少なくとも私は山田さんと面識がないように思っているんですが・・・」
「それは・・・今から二十六年前のことです」
慎重に言葉を選ぶようにして山田さんはポツリポツリと話し始めた。
「当時、私は県立病院の産科で助産師長をしていました」
「県立病院で？」
山田さんは小さく頷く。
「今ではもう産科は無くなりましたけどね、その頃はまだお産も多い時代で。
妊婦さんの救急搬送も受け入れていたんです」
少し落ち着きを取り戻した山田さんは淡々と続けた。
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きよ(プロフ) - なつさんお疲れさまです。智くんと翔くんの生い立ちもですが、こんな用意周到に計画を立て実行する智くんに驚きです。でもやっぱり翔くんと出会ったら変わりますよねぇ。ましてやヒーローですもんね。智くんの心の変化を楽しみに待っています。 (2021年10月3日 8時) (
レス) @page24 id: 6c6ffed641 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - なつさんこんにちは！お言葉に甘えて早速きました！更新ありがとうございます！今回の智くんになんだかすごく安心しました^ ^計算だけでなくこれからは本当に翔くんと友達になりたくなるのかなって。この翔くんの登場には誰だってドキドキしますよねー‼︎^ ^ (2021年9月27日 14時) (レス) @page24 id: 4b882d58ca (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - はるさん» はるさん、こんばんは！切れ者の智くんですがこれから計画を実行することになります。でもそこには思わぬ落とし穴もあって・・・。いよいよ最終局面です。二人の行く末までどうかお付き合い下さいね！ (2021年9月26日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - みいさん» みいさん、こんばんは！コメント大歓迎ですよ〜。やる気が出るし励みにもなりますから♪感想を読んで次回の参考にすることも多々あります。本当にいつも熱心に読んでもらえて感謝感激です。最後までどうか見届けて下さいね。 (2021年9月26日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - なつさん、こんにちは😃なかなかの切れ者智ちゃんですね。２人の心情が複雑になるんだろうなぁ…。楽しみです！ (2021年9月25日 14時) (レス) @page22 id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2021年8月23日 23時
