39 ≪the past≫ ページ39
「もしかしてワイングラスも買ってくれたの？」
「ああ。
だってお前んち、ワイングラスねえし。
さすがにコップで飲むのは気が引けるからな」
「なんか至れり尽くせりだなあ・・・」
智は嬉しさを通り越して、もはや感動すらしていた。
「では改めて、おめでとう」
「ありがとう。俺、本当に嬉しい」
グラスをカチンと合わせて、お互いの目を見つめ合いながら一口飲んだ。
フルボディ独特の強めの渋みが口の中に広がる。
「美味しい〜」
智は大そうご機嫌で、すぐに一杯目のワインを飲み干してしまった。
「おかわり！」
「ペース早過ぎ」
「いいんだよ、誕生日なんだから」
「潰れても知らねえからな」
「もし潰れたとしても翔ちゃんが介抱してくれるんでしょ？」
「調子に乗るな！」
とか言いつつ、智のおねだりにはめっぽう弱い俺。
「早く早く」とせがむ智のグラスに俺はワインを注いでやった。
「ありがと、翔ちゃん」
「どういたしまして」
智はニッコリ微笑み、グラスに口を付けた。
そして「いいこと考えた！」と目を輝かせる。
「どうした？」
「俺も同じの翔ちゃんにプレゼントする！」
「同じのって？ワインのこと？」
「そう、これと同じワイン。
翔ちゃんの誕生日に俺からプレゼントするから、また一緒に飲もう？」
「別にそれはいいけどさ。
そういうのって普通はサプライズで準備するもんじゃねえの？」
「あ・・・」
「それに俺の誕生日は一月だから、これと同じワインじゃ俺の生まれ年にならないんだけど」
「あ・・・」
「お前って結構天然だよな」
「間違えちゃった」
エヘヘと苦笑いする智。
まあ、そんな天然なところも可愛いんだけどさ・・・。
「ねえ、翔ちゃん。
だったら毎年お互いの誕生日には、生まれ年のワインを贈り合うってのはどう？」
「俺は別に構わないけど。
でも今年は何プレゼントしてくれるんだろう？みたいなドキドキ感はないぞ？」
「俺がそうしたいの！」
智がそうしたいなら、それでいいと思った。
智の望むことなら俺はなんだって叶えてあげたい。
だから来年も再来年も十年後も、その先もずっと。
お互いの誕生日に生まれ年のワインを贈って、「また一つ歳を取ったね」って笑い合っていたい。
それが俺の望み。
この時の俺はこれからもずっと続くのであろうお互いの誕生日に思いを馳せていた。
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なつ(プロフ) - みいさん» みいさん、こんにちは！もちろん毎回伏線を張り巡らせていますよ。智くんの言動と翔くんが智くんに対して感じていることが全て鍵となっております。謎解きしてみて下さいね。どうぞお楽しみに！ (2021年6月21日 16時) (
レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - なつさん、こんにちは！更新ありがとうございます！更新されたかなと毎日楽しみにこちらを覗いています^ ^なんだかたくさん伏線が張られていってる気がしますが、勝手に推理しながら謎多き智を楽しんでます！続きを楽しみにお待ちしております^ ^ (2021年6月21日 15時) (レス) id: 4b882d58ca (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - mioさん» （続き）こちらのオハナシ、気に入ってくれて本当に嬉しいです。過去と現在を行ったり来たりしていますが、まだまだ序盤。乞うご期待下さい。そして！私は実はｍｉｏさんの某人気連載を拝読していて、そんな大人気の方からのコメントにもうドキドキしてます！！ (2021年6月20日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - mioさん» mioさん、初めまして。コメントありがとうございます！ (2021年6月20日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 続）お話の世界に取り込まれて、はっ！！読み終えてしまった！！となっています。もう続きが楽しみすぎてたまらないのですが、どうぞご無理なさらず、なつさんのペースでお書きくださいませ。ドキドキしながら待っています(〃ω〃) (2021年6月20日 14時) (レス) id: 3fedb29ffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2021年5月21日 18時
