166 < Side S > ページ21
「ど・・・し、て・・・」
どうしてそんなに優しいの？
「え？」
智くんが顔を上げ、俺をまじまじと見た。
「あ、もしかして痛かった？」
俺は首を横に振る。
「そっか」と安心したように彼はまたマッサージを始めた。
「あー・・・それからリハビリのことだけどさ・・・。
時間が合う時は俺も付き添うから。
だから一緒に頑張ろうな？」
彼は一緒に頑張ろうと言ってくれた。
こんな嘘吐きの俺のために。
嬉しい。
だけどそれ以上に辛い。
もしここで「本当は全部嘘でした」とバラしたら、智くんはもう二度と俺に会いに来てくれないような気がした。
「翔くん、頑張れっ！」
「うん・・・」
手すりに体重を預けながらゆっくり右足を前に出す。
「焦らなくていいよ」
「うん・・・」
次に左足を前に出そうとしたが、バランスが崩れて倒れそうになったところを智くんが抱き止めてくれた。
その瞬間、シャンプーだったか柔軟剤だったか・・・。
智くんから懐かしい匂いがした。
このままずっとこうしていたいと思った。
「あっぶねぇ！
大丈夫？翔くん」
「うん・・・」
だけど、俺の体勢を元に戻し、彼はスッと体を離した。
途端に言いようのない寂しさが込み上げる。
宣言通り、彼は時間さえ合えば俺のリハビリに付き合ってくれた。
腰を強打していたせいで未だに歩行はままならない。
だけど、この頃にはもう言葉はだいぶんスムーズになっていた。
リハビリの先生が言うには、毎日の歩行訓練を欠かさなければ今後歩行に困ることはないだろうということだった。
まだ少し腰は痛むけど、電気治療のおかげもあって日に日に良くなってきているのは実感していた。
「翔くん、だいぶん歩くの上手になったじゃん！」
「うん・・・。
大野くんのおかげだよ」
健気にリハビリに励む俺と、それに付き合う優しい智くん。
付き合っていた時以上に彼との精神的な結び付きを感じていた。
きっと俺はそのシチュエーションに相当酔っていたんだと思う。
それを証明するように、この頃から彼に対する罪悪感がどんどん薄れてきていた。
それどころか、これからもこの関係がずっと続けばいいのに、と虫のいい事さえ思っていた。
智くんの本当の気持ちなんて考えもせず。
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花咲*(プロフ) - なつさん^_^大好きなお話また、読み返して萌を頂いてます。このお話も大好き。 (2020年11月22日 14時) (
レス) id: 7a9a23c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - まったりやさん» まったりやさん、こんばんは！レスが遅くなってスミマセン！！しばらくツクを開いておりませんでした(-_-;)ゴメンナサイ。さてさて。なんとか完結しましたが、最後はあの方たちも再登場でドタバタでした（笑）楽しんでもらえたのなら良かった♪最後までありがとう！ (2020年3月8日 22時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
まったりや(プロフ) - なつさん、完結＆後日談、ありがとうございます。レジェンド御一行に再開できてお礼も伝えられて良かった良かった。リアルの雑音（？）もある中ですが、なつさんの描く物語には癒やしと楽しさがまさに泉の如く溢れていますね。でもなつさん、無理はしないでくださいね。 (2020年2月27日 13時) (レス) id: 4ac657099e (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - じゅーくろーさん» じゅーくろーさん、こんばんは！こちらこそ最後までお付き合いありがとうございました！潤くんには少しかわいそうな展開でしたが、今は心から二人を祝福してくれているでしょう。やっぱり山はハッピーエンドじゃないと！！ (2020年2月19日 0時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 葉子さん» 葉子さん、こんばんは！やっとやっと完結！最後までお付き合いありがとうございました♪なんとかハッピーエンド。山はやっぱりこうでなくちゃ！！過去作品も読んで下さってありがとうございます。今度感想教えて下さいね☆ (2020年2月19日 0時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2019年11月14日 0時
