48 ≪the past≫ ページ48
「あー・・・言うつもりなかったのにぃ」
そして彼は手を離し、へなへなとその場にしゃがみ込む。
両手で顔を覆い、すっかり意気消沈していた。
「今言ったの気にしないで下さいね。
ただ勢い余って言ってしまっただけで。
大野さんにしてみればどう考えたって迷惑な話ですし・・・」
「櫻井さん」
「・・・はい」
相変わらず彼は俺のほうを見ようとしない。
俺も隣に腰を落とし、櫻井さんの背中に手を置いた。
彼がビクッと体を震わせる。
「今言ったこと後悔してるんですか？」
「そりゃあ、自分から告白して玉砕すれば誰だって・・・」
「どうして俺が断る前提なんですか？」
「え・・・」
「俺、まだ何も言ってませんよ？」
「だって・・・」
そこで彼はようやく顔を上げて俺を見た。
「俺も櫻井さんと一緒にいて楽しいですよ？」
「えぇっ？」
「俺は人見知りだし気の利いたことも言えないけど・・・でも・・・」
あれ？
俺、何言っちゃってんだろう。
櫻井さんはただの飲み友達で、しかも男だぞ？
今の俺、絶対この雰囲気に流されてる。
でも・・・。
「俺は好きだって言ってもらえて嬉しかったですよ？」
「でも！」
「それとも真に受けないほうがいいですか？」
すると櫻井さんは全力で首を横に振る。
そして俯きがちに俺に言った。
「今の・・・口説き文句って思ってもらっていいです・・・」
それはまさに蚊の鳴くような声。
いつも好青年で優しい櫻井さんの自信なさげな告白に、俺は不覚にもキュンとしてしまった。
「俺も好きですよ、櫻井さんのこと」
「本当に！？」
彼が顔を上げ目を丸くする。
だから俺はウンと頷いた。
今までも櫻井さんの何気ない一言や仕草にドキッとさせられることはあった。
それは一度や二度ではない。
何度も感じていたこと。
きっと、好きだったんだ。
俺も櫻井さんのこと。
自分ではっきりと気付かなかっただけで。
だって今、俺はこんなにもドキドキしてる。
「良かった」
膝に顔を埋めて彼が呟く。
そんな彼が可愛くて俺はトントンとその肩を叩く。
櫻井さんが顔を上げたのと、唇を奪ったのは同時だった。
「んーーーーっ！」
彼はキスされながらとても驚いていた。
ああ、やっぱり櫻井さんって可愛い。
好きだなあ・・・。
唇を押し当てただけのキス。
顔を離すと、櫻井さんはまた両手で顔を覆った。
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なつ(プロフ) - ちたさん» ちたさん、おはよう！少しずつ二人の過去が分かってきましたが、まだまだ謎が多くて(笑)事の真相は もう少し先で。でもちたさん名探偵だからなんとなく分かってますよね？？ (2019年6月8日 6時) (
レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
ちた(プロフ) - なつさん☆遂に心を通わせた昔の登場ですね。それにしても、こんなに素敵な二人なのに…。この後、二人に何があったのか！気になる！ (2019年6月6日 23時) (レス) id: 07a929c9a6 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - smsさん» smsさん、こんばんは！二人の過去、やっぱり気になりますよね〜。徐々に分かってくるのでもうしばしお待ちを！更新遅めですが、最後までどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2019年6月5日 22時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
sms(プロフ) - なつさん。おはよう！更新ありがとう！読むたびに、ますます気になって仕方がない。何がこの2人にはあったのか。この先も楽しみに更新待ってまーす！ (2019年6月3日 6時) (レス) id: 0c7cc7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - はるさん» はるさん、こんばんは！二人の過去に何があって、この先どうなるのか。ちょっとドキドキしますよね。このオハナシ、気に入ってもらえているようで、私も嬉しいです！！ありがとう♪ (2019年6月3日 0時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2019年5月7日 15時
