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「ただいま」
リビングのドアが開くと同時に、頬っぺたを真っ赤にさせた潤くんが中へ入って来た。
きっと外の冷たい風に晒されたのだろう。
「おかえり、早かったね」
「うん、ただいま」
言いながら潤くんは、上着も脱がずに俺に抱き付いた。
「急にどうしたの？」
「会いたかったぁ」
「はあ？
毎日会ってんじゃん」
「仕事中、ずっと会いたいって思ってたんだよ・・・智に」
「なんだ、それ」
今日はやけに甘えん坊な潤くん。
「仕事で何かあったの？」と問えば彼は「あったよ」とあっさり認めた。
「何があった？」
「言いたくない」
どうも様子がおかしい潤くんから一旦離れ、俺はその顔をじーっと見つめる。
「ほれ、俺の目を見てちゃんと答えなさい」
「あんまり見るなよぉ、恥ずかしいじゃん」
「何を今さら・・・」
潤くんの言動に呆れ、やれやれと俺はベッドに潜り込む。
「じゃ、俺は先に寝る」
「あー！すぐ風呂入ってくるから待っててよ」
「だったら・・・」
駆け寄って来た潤くんの頬っぺたを両手でムギューッと挟んだ。
「何があったかちゃんと話すこと。
じゃなきゃ一緒に住んでる意味ないじゃん」
「ふぁかった・・・」
「よし、いい子」
潤くんの頭をよしよしと撫でる。
すると彼は嬉しそうに笑った。
そして俺に絶対先に寝るなと釘を刺し、風呂に行ってしまった。
潤くんと一緒に暮らすようになって五年の月日が経った。
今から五年前。
俺は潤くんと別れるために彼の部屋を訪れた。
その時、目にした光景は今でも忘れることが出来ない。
俺はすぐに救急車を呼び、彼はなんとか一命を取り留めた。
そして潤くんが目を覚ました日、俺は人目もはばからず号泣した。
自分なんかのために泣かないでほしいと言った彼に俺はこう言った。
『泣きたい時は泣いていいって言ったのは潤くんだろ。
生きていてくれて本当に良かった・・・』
それを聞いた潤くんも声を上げて泣いた。
俺に手を上げてしまったこと、そして衝動的だったとは言え、自ら命を絶とうとしたこと。
彼の中には俺に対する大きな負い目があった。
でもそれらの原因を突き詰めれば、俺の優柔不断な態度が招いたこと。
だから俺は潤くんになんと言われようがそばを離れなかった。
結局、俺は自分の意思で“あの人”との約束を果たさなかったのだ。
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なつ(プロフ) - 静さん» 静さん、初めまして！コメントをありがとうございます♪静さんが素敵な時間を過ごるお手伝いが出来て良かった☆嬉しいお言葉をありがとうございます。いろいろと世知辛い世の中ですが（大げさ〜）、最後までお付き合い下さいね♪ (2018年11月4日 21時) (
レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
静(プロフ) - 初めまして静です。なつさんの言葉をよみました。そして、なつさんに有難うございますと言いたくなりました。嫌な想いをされて、私なら、閉じちゃうかも知れないのに公開して下さって。その強さのお陰で素敵な時間を過ごせています。応援しています。 (2018年10月31日 14時) (レス) id: 3fb1bcad7d (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - smsさん» smsさん、こんばんは！飛び付いて読んでくれて感無量！本当にありがとう♪まだまだ波乱続きですが、そろそろ完結が見えてきました。最後までどうぞよろしくね！いつもありがとう☆ (2018年10月19日 0時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
sms(プロフ) - なつさん、おはよう。更新ありがとう。更新のお知らせがあったら、飛びついて読んでる！まだまだ、波乱が待っていそうな感じだね…完結まで毎回楽しみに更新のお知らせ待ってます♪ (2018年10月18日 6時) (レス) id: f0f7b145e7 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - alisaさん» alisaさん、こんばんは！好きって気持ちはなかなか一筋縄にはいかないものですねぇ。智くん、やっと動き始めましたが、もう一波乱起こりそうです。みんなが幸せになれる結末を目指して頑張ります♪大野さんと僕、一体どこで買えるんでしょう？ (2018年10月17日 23時) (レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2018年9月16日 4時
