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「・・・知ってた？
大野さんってね、意外と子どもっぽいところもあるんだよ。
本当に可愛い人なんだ・・・」
俺だけが知ってる本当の大野さん。
大好きなその人のことを可憐に咲く花に話してみせる。
「でも女装させたら日本一・・・いや宇宙一のクールビューティーでね？
あの世界三大美女もひれ伏すほどなんだよ。
智子さんって言うんだけど、いやあ、あの美しさにはホント参ったよね。
この前、待ち受け画像を大野さんに削除されちゃったんだけどさ〜、元データはちゃんと別のフォルダに保存してるから、また暑苦しい顔の人を容赦なくトリミングしとかないと。
あっ！このことは大野さんには内緒ね？
バレたら抹殺されるから・・・」
彼のこと得意げに話し、それを黙って聞いてくれた花を愛おしい気持ちで眺めた。
『俺、お前のことすっげー好きだったよ』
ニット帽の先っぽにくっついているボンボンみたいなピンクの花、オジギソウ。
それは今でも俺が一番“好き”な人が、かつて一番“好きだった”花。
つまり俺の気持ちは現在進行形でも、大野さんの気持ちはもう過去完了形ってことなのだ。
手を伸ばしてその花に触れてみた。
すると葉がカクンと揺れて閉じてしまった。
大野さんは俺がシュンとすると、いつも俺をオジギソウに似てるって言ってた。
もしかして花のことじゃなくて、この葉っぱのことを言ってたのかな。
彼に怒鳴られて肩を落としている俺を例えて・・・。
そっか、そういうことだったのか。
俺、勘違いも甚だしい。
途端に笑いが込み上げた。
「うーーーーーーーん！」
立ち上がって大きく伸びをする。
オジギソウに話を聞いてもらって。
そして最後の最後に大野さんの言葉の意味が分かって心が少し軽くなった。
これできっと一週間前の宣言通り、清々しい気持ちで別れられると思った。
「なんだよ、そのツラ」
朝食の準備をしていると、ようやく起きてきた大野さんが俺を見るなりそう言った。
「え？」
「ひでぇ顔してる」
「そうですか？」
「瞼が腫れて超ブサイク」
「それはどうもすみませんね」
「醜い」
「・・・大野さん」
いくらなんでもそれは言い過ぎですよ？
「でも・・・ひでぇ顔してる割には元気だな」
「いつまでもクヨクヨしてたってしょうがないので」
「そっか・・・」
彼は一瞬困ったように笑い、「新聞取ってくる」と台所を出て行った。
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なつ(プロフ) - まったりやさん» まったりやさん、こちらにも感想をありがとうございます！この話はとても気に入っているので、やっぱり最後はハッピーエンド。しかも最後の最後に（笑）新作のほうはまたテイストが違いますが、そちらのほうも楽しんで頂けると嬉しいです！ (2017年5月11日 12時) (
レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
まったりや(プロフ) - 時期を逃した感が凄くて恥ずかしながら…。完結お疲れ様でした！ありがとうございました！笑ったと思えば切なくなりつつ、でもハッピーエンド…。はぁ〜やっぱりなつさんのお話好きです。これからも応援しています！ (2017年5月10日 12時) (レス) id: 6d900dafd3 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - まーりーさん» まーりーさん、最後までお付き合い下さってありがとうございました！最後までどちらに転ぶか分からない展開でしたが、最後の最後でやっと♪文庫本でほしいとは見に余るお言葉！ありがとうございます！！ (2017年4月5日 0時) (レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 虹空さん» 虹空さん、最後まで読んで下さってありがとうございました！しかも更新を心待ちにしてくれて嬉しい限りです。ニノのシーンを気に入ってもらえたのはすごく意外でした！ (2017年4月5日 0時) (レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
まーりー(プロフ) - なつさん！お疲れ様でした！少し来てない間に完結してました〜！後半雲行きが怪しくなってきたので、どうかハッピーエンドで終わりますように！と思いながら読んでおりましたが、無事にハッピーエンドで大大満足です♪文庫本で欲しいくらい！次も楽しみにしてます！ (2017年4月4日 2時) (レス) id: 4ae3cb9273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2017年3月6日 0時
