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「電気消すぞ」
「はい・・・」
家に帰ってからも感傷的な気分は変わらなかった。
隣同士に敷いた布団。
各々自分のそれに横になった。
真っ暗な部屋に扇風機の低い音だけが響く。
二人とも何もしゃべらない。
ただただ時間だけが無情に過ぎていく。
そんな重苦しい空気の中、大野さんが起き上がる気配がした。
暗闇に慣れた目で彼の姿を捉える。
彼は音を立てないように立ち上がり、網戸を開けて縁側に出た。
カチッカチッて聞き慣れた音がした。
網戸越しに彼の背中を見つめる。
暗闇に小さな赤い光が一点灯り、彼がタバコを吸っているのに気付いた。
会社の踊り場でも彼はよくタバコを吸ってた。
窓の外をぼんやりと眺めながら。
今でもその姿を鮮明に覚えている。
階段の下から何度も見上げていたから。
あの頃はただ一途に彼のことが好きで、いつもめげずに大野さんのことを追いかけていた。
彼はその度に不機嫌そうに俺を見て『オジギソウのくせに生意気』って・・・。
今でも俺はあの頃の気持ちと何も変わりないのにどうして戻れないんだろう。
考えるだけで泣けてくる。
ガラガラと網戸を開けて縁側に出た。
そして無言のまま彼の隣に膝を抱えるように座る。
「なんだよ・・・まだ起きてたんか？」
「・・・眠れるはずないでしょう？」
それはあなただって同じですよね？
だから今ここにいるんですよね？
大野さんがふうっと煙を吐く。
その小さな音さえも今は切ない。
しばらく二人はダンマリだった。
「なあ、櫻井」
長い長い沈黙のあと、大野さんが静かに口を開く。
「はい・・・」
「俺、お前のことすっげー好きだったよ」
「え？」
突然の告白に頭が真っ白になる。
「いつも大騒ぎしてうるさくてめげなくて。
でも一途で一生懸命でさ・・・。
そういうところが好きだった」
何も言えないでいる俺に、大野さんは淡々と続けた。
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なつ(プロフ) - まったりやさん» まったりやさん、こちらにも感想をありがとうございます！この話はとても気に入っているので、やっぱり最後はハッピーエンド。しかも最後の最後に（笑）新作のほうはまたテイストが違いますが、そちらのほうも楽しんで頂けると嬉しいです！ (2017年5月11日 12時) (
レス) id: 3dbb952a56 (このIDを非表示/違反報告)
まったりや(プロフ) - 時期を逃した感が凄くて恥ずかしながら…。完結お疲れ様でした！ありがとうございました！笑ったと思えば切なくなりつつ、でもハッピーエンド…。はぁ〜やっぱりなつさんのお話好きです。これからも応援しています！ (2017年5月10日 12時) (レス) id: 6d900dafd3 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - まーりーさん» まーりーさん、最後までお付き合い下さってありがとうございました！最後までどちらに転ぶか分からない展開でしたが、最後の最後でやっと♪文庫本でほしいとは見に余るお言葉！ありがとうございます！！ (2017年4月5日 0時) (レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 虹空さん» 虹空さん、最後まで読んで下さってありがとうございました！しかも更新を心待ちにしてくれて嬉しい限りです。ニノのシーンを気に入ってもらえたのはすごく意外でした！ (2017年4月5日 0時) (レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
まーりー(プロフ) - なつさん！お疲れ様でした！少し来てない間に完結してました〜！後半雲行きが怪しくなってきたので、どうかハッピーエンドで終わりますように！と思いながら読んでおりましたが、無事にハッピーエンドで大大満足です♪文庫本で欲しいくらい！次も楽しみにしてます！ (2017年4月4日 2時) (レス) id: 4ae3cb9273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2017年3月6日 0時
