193 ページ47
「あのさ・・・お前の情報源ってウィキペディアだったのかよ・・・」
「そうですけど？」
それが何か？
「だって自分の知りたい情報を一発で教えてくれるので何かと便利だし・・・」
「あっそ・・・。
でも泣き上戸のメカニズムなんて正直どうでもいい」
大野さんはこれ以上何も話すことはないと言わんばかりに、シートを倒して目を閉じた。
自分自身を抱きしめるように腕組みをしながら・・・。
大野さんの寝る時の癖。
それは何かを抱きかかえるようにして寝ること。
いつもは枕を抱えてうつ伏せになって寝ている大野さん。
でも夕べは寝返りを打った拍子に抱き枕と勘違いしたのか俺にギューッとしがみ付くように密着して寝ていた。
あの蛇の生殺し状態に俺もよく耐えたと思う。
「俺だって夕べは大変だったんですからね」
だから文句の一つでも言いたい。
「何が？」
大野さんは目を閉じたまま俺に聞く。
「大野さん、寝相が悪くて」
「ふうん・・・」
「俺のこと抱き枕と勘違いしてたみたいで、こっちは身動き取れなかったんですからね！」
「あっそ・・・」
「おかげで俺は寝不足だし、迷惑もいいところです！！」
すると大野さんがこちらに顔を向けて目を開けた。
そして食い入るように俺を見つめる。
「あのさ・・・」
「はい・・・」
「今まで俺が寝相悪かったこととか一度でもあったか？」
「いいえ？
大野さんはいつもうつ伏せになってお行儀良く寝てますよ」
だから余計に夕べの寝相の悪さには驚いたわけで。
「つまりそういうこと」
「はい？」
どういうこと？
「だから、あれは別に寝相が悪くてそうなったんじゃないってこと」
それってつまり・・・。
「あの時、俺、起きてたし」
え、えっ、えぇーーーーーーーー！！
「お、おおお起きてたんですかっ？
っていうか、あれはわざとやってたってことなんですか！？」
慌てふためく俺に大野さんは何も答えず、ニヤリと意味深な笑みを浮かべた。
どんだけあの状況に一人でじっと耐え続けたと思ってんですか！あなたは！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 767人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なつ(プロフ) - keiさん» keiさん、はじめまして！コメントありがとうございます。ローストビーフに玉ねぎ・・・楽しんでいただけて光栄です♪現在、次パート移行の準備をしているので続きはもう少しお待ちくださいね。これからまた波乱の予感の二人です！！どうぞお付き合い下さい☆ (2016年10月3日 21時) (
レス) id: 444c2780d4 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - ﾊｼﾞﾒﾏｼﾃ。このお話楽しみにしていて、更新に気づかずﾊﾟｰﾃｨｰのところから一気読みしました！贅沢ー！そして、ﾛｰｽﾄﾋﾞｰﾌに玉ねぎ...爆！ﾍﾀﾚ翔君が可愛くて。ﾂﾝﾃﾞﾚ智君が愛しくて。ここにきて積極的な大野ｻﾝにﾄﾞｷﾄﾞｷです( ´艸｀) (2016年9月30日 19時) (レス) id: c3893fc157 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - はるさん» はるさん！悶絶しちゃたんですね？しかも続きを楽しみにしてもらえて嬉しい限りです！！これからもツンデレな先輩とそれに振り回されている後輩くんををどうぞよろしくお願いします。 (2016年9月26日 0時) (レス) id: 444c2780d4 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - ayakoさん» ayakoさん！先輩が少しずつ積極的になってきました。まだ肝心な言葉は言ってくれませんが(笑)これからもう一波乱、二波乱ありそうな感じです。続きもドキドキワクワクしながら読んでもらえると嬉しいです♪ (2016年9月26日 0時) (レス) id: 444c2780d4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - なつさん、こんにちは！なんでしょう！大野さんのツンデレ具合が！一人で悶絶しています。続きが楽しみです(^-^) (2016年9月25日 10時) (レス) id: 2e57ade7fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なつ
| 作成日時：2016年8月5日 21時
