72 ページ23
しばらくして人気の少ない夜の廊下にコツコツと足音が聞こえた。
この音はきっと大野さん。
いつも歩くのが早いからすぐ分かる。
徐々にその音が近付いて、編集部の入口の前でその音は止まった。
なかなか中へは入って来ない。
あれ？人違いだった？？
しばらくしてまたコツコツと足音。
その音が編集部の中で聞こえて・・・。
やっぱりそれは大野さんだった。
そして彼はいつもの仏頂面で席まで戻って来ると「これ」と俺の机に缶を一つ置いた。
「冷たいの飲もうと思ったら間違ってホット買っちまったから・・・。
お前にやる」
それはホットのカフェオレ。
「俺はもう帰る。
原稿は朝一で見るからそれまでに終わらせとけ」
「はい・・・」
俺の目を見ようともせず踵を返した大野さん。
スタスタと歩き出し、帰ろうとした。
その後ろ姿に俺は心の中で問う。
大野さん、どうして耳まで真っ赤なんですか？
さっき入口で立ち止っていたのは言い訳を考えていたからでしょう？
だって大野さんはいつもコーヒーはブラック。
俺はいつもカフェオレ。
間違って買ったなんて嘘ですよね・・・？
「大野さん！お疲れ様でしたっ！！」
スタスタ歩く背中に向かって声を張る。
聞こえていないはずないのに、大野さんは振り返ることも立ち止ることもせず、編集部を出て行った。
机の端に置かれたカフェオレを手に取った。
その温もりが指先から心に伝わる。
大野さん・・・好きです。
カフェオレ、ありがとうございました。
缶をギュッと握りしめて大野さんの出て行った入口をボーッと見つめる。
そして今日も心のノートに書き留めた。
『大野さんは嘘を吐くのが下手』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 920人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なつ(プロフ) - 優子さん» 優子さん、おはようございます！翔くん、いよいよ智くんに詰め寄りました。これから先輩に語ってもらいますよ♪ (2016年7月5日 8時) (
レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - しるひさん» しるひさん、おはようございます！真相はこれから本人の口から語ってもらうのでお楽しみに〜♪ババ抜きは相葉くんのミラクルがツボでした！ほんとうに奇跡を呼ぶ男ですね。社長と秘書の対決も素敵でした。 (2016年7月5日 8時) (レス) id: c9214b2a41 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔ちゃん大丈夫かな？ (2016年7月3日 17時) (レス) id: 236f8458a9 (このIDを非表示/違反報告)
しるひ - や、さとちの事なら何でも知ってるしょお君からの愛のある突っ込み付での直接対決が見たかったなぁ。まぁ秘書との遣り取りが素直過ぎて(←あんた本当に35歳か?)劇可愛いから忘れかけてたけどもね＾＾出来れば決勝に進出してほしかった♪ (2016年7月1日 9時) (レス) id: 7af92dadea (このIDを非表示/違反報告)
しるひ - あららぁ、本当にチューしたのかな?!何かしょお君先輩が自分にチューしたって勝手に思い込んでますけど早合点になんなきゃいいけど…。VSババ抜き初っ端のあーばちゃんのやらかしが面白くってあぁ、ミラクルな人なんだなと思った。出来ればさとち専用メンタリストにのみ (2016年7月1日 9時) (レス) id: 7af92dadea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なつ
| 作成日時：2016年6月10日 12時
