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「ずっと気になってたんですけど・・・。
智くんと松本さんが恋人同士じゃないなら、どういうご関係なんですか？
ただの友達って感じはしないんですけど」
「だから、それは俺の口からは言えないって前に言ったでしょう？
智が何も言わないなら、俺から話すことは何もないんですよ」
確かにそう言ってたけどさ・・・。
それに智くんが俺に隠し事をしてても、もう構わないとも思ってたんだけどさ・・・。
やっぱり気になるでしょ。
「それに智くんはずっと前、彼女に振られたって言ってたんですよ。
俺はそれっててっきり松本さんのことだと思ってました」
「へえ・・・。
智、そんなこと言ってたんですか・・・」
それから松本さんは俯いたまま黙々とカバンに資料を詰め込んだ。
もう何も聞くなと言わんばかりに。
だから俺もそれ以上はさすがに聞き辛くて、ただじっと松本さんを見ているしか出来なかった。
終業のチャイムが鳴ると同時に席を立つ。
今日は智くんのお迎え予告があったため、まだ残っている同僚に声をかけていそいそと課を出た。
「櫻井さーん！」
渡り廊下の手前で背後から誰かに呼びかけられ、咄嗟に振り返る。
すると広報課の二宮くんが駆けてきて隣に並んだ。
「もう帰りですか」
「うん、今日はね」
二宮くんは、「いいなあ」と羨ましそうに笑って隣を歩き出した。
「そういや、小冊子のほうは進んでますか？」
「うん、順調」
「博通堂の松本さん、すごい出来る人でしょ？」
「ミスター・パーフェクトって呼んでるよ、自分の中で」
「確かに！」
二宮くんは俺の言葉にウンウンと頷いて納得していた。
二人で渡り廊下を通っていると、ガラス窓から正面玄関が見えた。
そこに智くんの姿を発見！
石畳の上で軽やかに、そして楽しそうにスキップをしていた。
「何やってんだよ・・・」
思わず足を止めて笑ってしまった。
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作者名：なつ
| 作成日時：2015年12月13日 14時
