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「何読んでんのっ！？」
「え？ただ新聞読んでるだけだよ〜」
「いや、それは分かるんだけど、今まで新聞なんて見向きもしなかったじゃないの。
経済面なんて読んで分かるの？」
「失礼だな！
俺だって経済面くらい読むよ」
分かりやすいくらいのふくれっ面で智くんが反論する。
「えっと・・・何か気になる記事でもあったわけ？」
「うん、最近の車の売れ筋は何かなあと思って」
車！？
「智くん、車に興味あったの？
車が欲しいの？」
「ううん、欲しくはないよ。
だって俺、免許持ってないもん」
「あ・・・そう・・・」
ダメだ・・・。
やっぱりこの人の思考には付いてけない。
智くんは紙面に視線を落として、最近の売れ筋はやっぱり軽自動車なんだな、とか、ハイブリッドはもう当たり前の時代なんだな、などなど独り言ちていた・・・。
その日の夜も智くんは一緒に寝ると言って聞かなかった。
同じ布団で寝るからと言って別に何をする訳でもなく(当たり前！！)、ただ隣に横になったかと思えば、その三秒後には寝入っているという・・・。
のび太くんもビックリな智くんなのだった。
智くんの不可解な行動はまだまだ続いた。
翌朝、俺が起きるとやっぱり智くんはすでに起きていた。
あれだけ寝起きが悪く、毎日が日曜日状態の智くんは俺がいくら起こしてもなかなか起きようとしなかったのに・・・。
しかもこの日ももう着替えを済ませ新聞を読んでいた。
一面をじっくり読みながら何やらブツブツ独り言を言っている。
何をそんなに熱心に読んでるのと問えば、軽減税率が気になると智くんは答えた。
「軽減税率？」
「そう、軽減税率」
「なぜに？」
「軽減税率の範囲によっては、これからの日本の消費者の購買意欲が変わってくるじゃん」
「それはごもっともな話なんだけど・・・」
なぜに急にそんなこと気にするの？
確か智くんは美大出身だったよねえ？
全くもって意味が分からん・・・。
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作者名：なつ
| 作成日時：2015年12月13日 14時
