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「で、取りあえず智くんの気合いが十分なのは分かったから、これは取っておこうね。
全くもって意味ないから」
そう言って彼の頭に結ばれているネクタイを解いてあげた。
「とにかく！俺、頑張るから！！
翔くん、応援よろしく〜」
「もちろんだよ」
天真爛漫のように見えて、意外にもいろんなことを気にしていた智くん。
そんなに気を使わなくたっていいんだよ。
だって俺たち、親友なんでしょ？
出会ったその日にあなたは俺のこと親友だって言ってくれたじゃない。
でも・・・智くんもいつかはここから巣立っていくのかな？
ちゃんとやりたいことを見つけて智くんが前進するのは俺も嬉しいんだけど、それはそれで寂しいものがあるなあ・・・。
突拍子もないことばかり言う智くんだけど、いつの間にかそんな彼のことをずっとそばに置いておきたいと思っている自分がいることに気付いてしまった。
今はまだこの感情をどう表現していいのか分からないんだけど・・・。
ソファに座って懸命に就活本を読んでる智くんを見た。
下唇を付き出して本に没頭している。
「翔くん！」
智くんが突然顔を上げ、俺の名を呼んだ。
「え、何？」
そして無邪気な顔をして俺に聞く。
「職務経歴書って何？」
智くんの就職までの道のりはまだまだ長い。
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作者名：なつ
| 作成日時：2015年7月16日 1時
