超能力9 その夜 ページ10
連絡先を半ば強引にしていった忍者を見送り、Aは疲れた様子でサイタマ宅に戻った。もう夕暮時で、空が薄くオレンジになっていた頃だ。
「ただいまー」
ガチャンと鍵を閉め、玄関を上がる。ふと香る良い出汁と味噌の匂い。何だ、夕飯に味噌汁でも作っているのか。いつもはインスタントなのに。
珍しく思いながらもリビングに入ると、いつもこの時間には帰宅している筈のジェノスがキッチンで野菜を切っていた。ふとコンロを見ると、ぐつぐつと子気味良い音を立てて煮えている味噌汁が鍋に入っていた。
匂いの正体はこれか、と一人納得する。
「何でジェノス君がここにいるの？」
「俺は先生の正式な弟子になったからな。先生の夕飯の支度をするのはあたり前だ」
「ああ、そう。私の分は？」
「お前の分などある訳が無いだろう。何を言っているんだ？」
当然だろう？とでも言いたげなジェノスの表情にAは素直に腹が立ったが、返す気力も無かった。それぐらい疲れた。ただの散歩でとんでもなく疲れる(命の)駆け引きをしてしまった。
正式な弟子。聞こえは良いがこれから更にジェノスがサイタマ宅に入り浸るという事か。面倒臭い。それが彼女の正直な感想だった。
何だか眠い。身体が怠い。今日は本当にドキドキした。色んな意味で。
「さいですか」
「何だ、いつもは食って掛かるくせに妙にしおらしいな」
「疲れた。寝る」
不思議そうに、こちらを探る目を向けるジェノスを一蹴し、Aはふらふらとテーブルの横に敷布団をしき、寝ころんだ。
丁度漫画を読んでいたサイタマもAの行動に首を傾げる。
「どした？つか寝るの早くね？まだ夕方じゃねーか」
「煩いわねぇ...。疲れたのよ、寝るの」
ジロリとサイタマに視線を向けたあと、Aは毛布を被り、そして目を瞑る。
無駄な連絡先を増やしちゃったなぁ、と思いながら彼女は夢の世界へと旅立ったのだった。
*
「Aの奴、どうしたんだ？」
「さあ？俺にもさっぱりです」
二人して目を合わせ、首を傾げた。
「俺がこの女に強く当たり過ぎたのでしょうか...？」
「さあなー。ま、あんま意地悪すんなよ？コイツ結構メンタル弱っちいんだからよ」
そう言いながらサイタマはジェノスのお手製の味噌汁を啜る。
至高の師匠である彼の言葉をジェノスは反芻しながら、寝顔まで疲れた様子のAをジッと見ていた。
何だか少し申し訳ない気持ちになった。
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りょんみょ - 続きめちゃくちゃ楽しみに待ってます！何度読み返しても面白い作品なので更新待ってます！無理せず投稿してください！ (2021年7月2日 23時) (
レス) id: fa046c7faf (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - すっっごく面白いです！！個人的に主人公の性格が好きです(笑)更新楽しみにしてます！作者さんのペースで頑張ってください！！応援してます！m(_ _)m (2020年5月26日 8時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
鬼姫海咲 - 続きが…みたい…！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 5b9b2060aa (このIDを非表示/違反報告)
面白い！！！ - すごい面白いです！！！！続きがすごく気になります.........！！！更新頑張ってください！ (2018年8月22日 21時) (レス) id: 319344e928 (このIDを非表示/違反報告)
y07(プロフ) - リコさん» 面白く感じて頂けたなら幸いでございます！サイタマかっこいいですよね( *´艸｀)更新はマイペースに頑張ります！コメントありがとうございました！ (2018年6月23日 16時) (レス) id: 39439d4efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y07 x他1人 | 作成日時：2017年8月3日 23時
