超能力37 ここに在る ページ38
深海王に必死にしがみ付く無免ライダー。そんな彼に深海王は「はあ？」と怒気を含んだ声を上げる。ビキリ、と血管が深海王の蟀谷に浮かんだ。
「うぅ...、期待されてないのは、わかっているんだ...」
歯を食いしばり、己の力の限りしがみ付く。血を流し、雨に打たれ、無免ライダーはもうボロボロだ。それなのに、一向に諦めようとしない。
そんな彼の姿勢に、深海王は苛立ちを募らせる。そして、思い切り無免ライダーを地面へと投げ飛ばした。
「っぷ、ぅ、...！」
鈍い音を立てながら叩きつけられる身体。今度こそ終わりだと、誰もが思った。しかし、それでも無免ライダーは傷ついた身体を震わせながらも立ち上がろうとするのだ。
もう限界だ。人間の身体はそれほど強くない。それを証拠に何人ものヒーローが深海王に倒されてきた。
もう諦めた方が良い。彼の為にも。
「C級ヒーローが大して役に立たないなんてこと、俺が一番よく分かっているんだ...！」
ならどうして、立ち上るのか。今にも死にそうなのに。何故、自分の身を投げ出せるのか。
「無免ライダーさん！死んじゃうわよ！アンタ分かってんの！？」
堪らずAが悲鳴にも似た声を張り上げる。目の前で彼が深海王に嬲り殺されるところを、黙って見過ごせるわけが無い。
ただただ、傷ついて欲しくない。それなのに、何故貴方は聞かないんだ。
「死ぬかもしれないのよ...？駄目よ、そんなの...」
雨に紛れ今にも消え入りそうな声が、弱々しく溶けた。
「死ぬか死なないかの、問題じゃないんだ...、Aさん」
微かに笑みを浮かべ、無免ライダーが応える。
そこに困っている人が、助けを求める人がいる限り、彼は進む。力の限り。
誰が何を言っても、無免ライダーは止まらない。
「俺はB級で通用しない。自分が弱いって事は、ちゃんと分かっているんだ！」
「な〜にボソボソほざいてるの。命乞い？」
ゆっくりと立ち上がろうとする彼に、深海王は問うた。いくら吹き飛ばそうが殴ろうが、這い上がる彼に、深海王は呆れを通り越して怒りが湧いてきた。その証拠に、彼の体躯は何倍も肥大化し、鋭い牙と双眸を覗かせる。
「俺がお前に勝てないことは、俺が一番よく、わかってるんだよぉッ...！！」
殴られようが、蹴られようが、吹き飛ばされようが、そんなこと重要ではない。
「勝てる勝てないじゃなく、ここで俺は、お前に立ち向かわなくちゃいけないんだ！」
立ち向かうこそが、ヒーローの役目なのだ。
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りょんみょ - 続きめちゃくちゃ楽しみに待ってます！何度読み返しても面白い作品なので更新待ってます！無理せず投稿してください！ (2021年7月2日 23時) (
レス) id: fa046c7faf (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - すっっごく面白いです！！個人的に主人公の性格が好きです(笑)更新楽しみにしてます！作者さんのペースで頑張ってください！！応援してます！m(_ _)m (2020年5月26日 8時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
鬼姫海咲 - 続きが…みたい…！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 5b9b2060aa (このIDを非表示/違反報告)
面白い！！！ - すごい面白いです！！！！続きがすごく気になります.........！！！更新頑張ってください！ (2018年8月22日 21時) (レス) id: 319344e928 (このIDを非表示/違反報告)
y07(プロフ) - リコさん» 面白く感じて頂けたなら幸いでございます！サイタマかっこいいですよね( *´艸｀)更新はマイペースに頑張ります！コメントありがとうございました！ (2018年6月23日 16時) (レス) id: 39439d4efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y07 x他1人 | 作成日時：2017年8月3日 23時
