超能力10 私のヒーロー ページ11
私は超能力を除いては、何もかもが平均的だった。平均的がどれほど素晴らしいか、それを実感したのは僅か5歳の時だった。
両親も普通。家族の中で特異的な存在は私と兄のみだ。風を操る超能力を違い、兄は冷気を操る超能力だった。
超能力なんてそんなもの、普通じゃない。常識からはずれている。
元々少し不器用だった私は、力の制御が下手くそだった。力を暴走させるだけだった私を怖がって、幼い頃は友達なんて呼べるものはいなかった。
ある一人の、幼馴染みを除いては。
*
「やーい！泣き虫！お化け！」
「いつもメソメソしてて気持ち悪ぃんだよ！ブス！」
「母ちゃんたちがお前のこと気持ち悪いって言ってたぞ！」
「ぐすっ、ふうぅ、やめてよぉ...」
あの日も、どの日も私は泣いていた。
集団心理と言うものは怖い。それは子供であっても。
石を投げられたリ、悪口を言われたり、物をとられたり、隠されたり、叩かれたり、髪を引っ張られたり。
いじめ方のバリエーションは様々だった。
小学校から高校まで、いじめはあった。今思えば、超能力が1つの原因ではないのかもしれない。
本来とても臆病な性格の私は、いつも言いたいことも言えずウジウジして、結局ただ受け入れるしかなかった。
私が何も言わないのも悪いし。「これが私なんだから仕方ない」と。
自分にも非が少なからずあると、諦めてたんだ。自分をそう言いくるめていないと、息苦しさを感じるのだ。
「お前らさー、こんなことしてダサいって思わねーの？」
いつもサイタマは、私の前にいつの間にか現れて、私をいじめっこから庇ってくれた。どんなガキ大将でも、先輩でも。
それが私の心の弱さかもしれない。いつも誰かの陰に隠れなきゃ生きていけないような、そんな駄目な人間だったから。私がサイタマに甘え過ぎていた。
「いつも、ありがと」
「別に。気にすんなよ。ほら、とっとと帰ろうぜ」
そう言って私の手を優しく掴み、引っ張っていってくれる。
何でも無いような顔をしてへらりと笑っているサイタマは、本当に誰よりも格好良かった。
*
「サイタマ」
「ヒーロー試験合格おめでとう」
「お、おう？何だ？急に」
「別に。昨日言いそびれちゃったから」
何年経っても構わない。私は私のやり方で強くなるから。
だから、もしも世界中の人がサイタマを嫌っても、私やジェノス君がちゃんといるからね。
今度は私がサイタマを助ける番なんだから。
ねえ、そうでしょ？私のヒーロー。
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りょんみょ - 続きめちゃくちゃ楽しみに待ってます！何度読み返しても面白い作品なので更新待ってます！無理せず投稿してください！ (2021年7月2日 23時) (
レス) id: fa046c7faf (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - すっっごく面白いです！！個人的に主人公の性格が好きです(笑)更新楽しみにしてます！作者さんのペースで頑張ってください！！応援してます！m(_ _)m (2020年5月26日 8時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
鬼姫海咲 - 続きが…みたい…！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 5b9b2060aa (このIDを非表示/違反報告)
面白い！！！ - すごい面白いです！！！！続きがすごく気になります.........！！！更新頑張ってください！ (2018年8月22日 21時) (レス) id: 319344e928 (このIDを非表示/違反報告)
y07(プロフ) - リコさん» 面白く感じて頂けたなら幸いでございます！サイタマかっこいいですよね( *´艸｀)更新はマイペースに頑張ります！コメントありがとうございました！ (2018年6月23日 16時) (レス) id: 39439d4efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y07 x他1人 | 作成日時：2017年8月3日 23時
