独立独歩のえいりあん 2 (ページ7)

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最初の話　シリウスページ7

ホグワーツに入学した最初のあいつ印象は、何だか見ててムカつく奴というものだった。

「サクラバ・A！」
「は、はぃ…」

黄色人特有の小柄な体格と真っ黒でストレートな黒髪。そいつは小さい体を更に縮こませてビクビクオドオドと組分け帽子の前に出た。
古びた椅子に座らされたそいつは小さい目を忙しなくあちこちに向けていて、一目で困惑、緊張しているのが分かる。

悪いことしてるわけじゃねーのに、何でビクビクしてんだよ。堂々とすりゃいいだろ。見てて苛々する。

「フム、慈悲の中に勇気が隠れておる…グリフィンドールにするか…」
「…？」
「いやいや、目的のためには手段は選ばず努力する忍耐力も備えておる。よし決めた、スリザリン！！」

何を言われているのか分からないような、あっけらかんとした表情でそいつは先輩たちに言われるがままにスリザリンの席に座った。英語をあまり理解できていないのか、また忙しなく目をキョロキョロと動かしていた。

「シリウス、何を一生懸命見てるんだい？」
「ん？あぁほら、あの日本人の女の子だよ」

コンパートメントで出会ってからすっかり意気投合したジェームズに尋ねられ、俺は見ていた人物を指さした。

「あぁ、名前何だっけ。まあいいや、お猿ちゃんね」
「お猿ちゃん？」
「ほら、黄色人種って黄色くて顔がのっぺりしてるだろう？何だか猿みたいじゃない？それに日本人はイエローモンキーって呼ばれているしね」
「へぇ」

確かに縮こまってビクビクしてる様子は木に取り残された小猿そっくりだ。ウジウジしているところが見ていて苛々すると同時に、ちょっかいをかけたらどんな反応をするのか俺は気になった。

＊

「ようお猿ちゃん」
「へ…？」
「おぉ、よく見ると確かに顔がのっぺりしてるな」

俺の言葉を何とか理解したのか、サクラバは見る見るうちに顔を真っ赤に染め上げた。そして、目にうっすらと涙の膜を張っていき、唇を震えさせた。

「だ、誰かは知らないけど、わ、私に関わらないでください…」

背丈に合ってないブカブカのローブを引きずるようにしてサクラバは俺の傍を横切って去っていった。
ぐずぐずと鼻を啜る音と嗚咽が聞こえる。

普通そこまで泣くもんか？と疑問に思ったが何となくすぐに理解した。そうか、あいつはスリザリンでも同じようなことをされているのか。遠い国で独りぼっちなのか。

なら、スリザリンだけど少しだけ同情してやらなくもない。態度次第では仲間に入れてやっても良い。