独立独歩のえいりあん 2 (ページ6)

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「てかよくここまでこれたね。雪大変だったでしょ？日本にいつ頃着いたの？」
「昨日の夜だよ。本当は電車で来たかったんだけど、雪で止まってしまってね」
「そんで何とかここの近くまでヒッチハイクで来たんだ」
「年越しが車の中だったんだ。大変だったねー」

炬燵で暖をとりながら蜜柑を剥いて食べる。冷えた体がじわじわと温まっていき、心地がいい。蜜柑も我が家は糖度が高い蜜柑を選んで買っているため、甘い果汁が噛むごとに溢れて最高だ。

「ほらお二人さん、蜜柑も食べなよ。美味しいよ」

2人に一つずつ蜜柑を手渡すと、その大きい手でおずおずと皮を剥き始めた。
大雑把だが皮を剥き終わった実をパクリと口に入れれば、彼らの表情は綻んだ。

「美味しいよ。オレンジとは違った甘さだね」
「いいな、これ。今度俺ん家でも取り寄せるわ」

気に入ってもらえたようで何よりである。
それから私たちは蜜柑を摘みながら他愛もない話をしていた。すると、台所から祖母がお盆を持ってやって来た。お盆の上には３つのお椀が乗っている。

「ほら、お雑煮だよ。これ食って温まれぃ」
「婆ちゃんありがと！」

湯気が立った雑煮は出汁の香りがよく出ていて食欲をそそった。祖母お手製の雑煮は、この家のお正月の醍醐味でもある。

「はい、婆ちゃん特製のお雑煮」
「あぁ、餅が入ったスープのことか。美味しそうだ」
「オゾウニ、良い匂いだな！お前の婆ちゃん、料理上手いんだな」
「まあね。あ、餅は喉に詰まりやすいから気をつけて食べてね。サイレントキラーって呼ばれてるらしいし」
「日本の食文化はアメイジングだね…」

小さく噛み切ってよく咀嚼してから飲み込むようにとアドバイスをし、彼らはそれを忠実に守りながら雑煮を食べた。
温かい食べ物でホッと一息付けたところで、再び祖母が台所からやってきた。今度は重箱を持って。

「はいお節だよ～。たんと食べれぃ」
「アリガトウゴザイマス」
「ほっほっほ、日本語がお上手だねぇ」

リーマスのお礼に気を良くした祖母は、身に付けていたエプロンのポケットをゴソゴソと探った。そして出たのは色彩豊かな和紙で出来たポチ袋だ。

「ほれ、お年玉」
「What is this?」
「これで何か良いもん買ってぐいろなぁ」

それに続いて祖母は私とブラックの分もくれた。何もとも気前がいい。

その後、家に泊まっている間はリーマスとブラックは気恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに祖父母に可愛がられていた。