独立独歩のえいりあん 2 (ページ12)

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ルーピン先生と恋の話ページ12

それはDADAの授業終わりのロンの何気ない一言から始まった。

「ルーピン先生っていっつもサクラバにチョコあげてるよな」
「そうかしら？」
「だってあれ見みろよ」

机の上で頬杖をついたロンが顎をしゃくり上げ指し示した先では、リーマスがマルフォイと教室を出て行くところのAを引き留め、一口サイズのチョコレートを差し出していた。

「今回の授業はよく眠らずに受けてたね。はい、ご褒美にチョコレートだ」
「マジすかルーピン先生！ありがとうございます！」
「はっはっは、特別だよ」

チョコレート一粒でテンションを露骨に上げたAはスキップをする勢いでマルフォイと共に教室から退出した。因みにマルフォイはちょっと嫌な顔をしていた。

「別に普通じゃない？」
「ハリー、考えてみろよ。いつも何かにつけてルーピン先生はチョコをあげてるじゃないか」
「そう？」
「この前なんか居眠りして疲れてるだろうからって理由でチョコをあげたんだぜ？他の生徒には何もないってのに」
「そう言われてみればそうかも…」

しげしげとリーマスを見つめるハリーとロンを他所に、ハーマイオニーは目を細め、冷静にひとり呟いた。

「恋ね」
「恋？誰が誰に？」
「Aがルーピン先生によ」
「女子ってホントその手の噂が好きだよな」
「あら、女子寮では専らの噂だわ。彼女が愛の妙薬を飲ませたんじゃないかって」
「サクラバが？でも相手は仮にも先生だよ？」
「いくらサクラバでも流石にそれは出来ないだろ」
「あくまで噂よ」

3人がリーマスとAについてあれやこれや話していると、いつの間にか彼らのそばにきていたリーマスが態とらしく咳払いをした。
気づいた3人が揃いに揃って驚いた様子でリーマスを見上げれば、彼はにこやかに言った。

「さぁ3人とも。次の授業に遅れるよ。速やかに退出するように」
「あの、ルーピン先生」
「何だいロン」
「ルーピン先生とサクラバのことについて質問があるんですけど…」
「私と彼女について？」

きょとんとした顔をするリーマス。その様子から特に何かを隠しているような素振りは見えない。
だがしかし相手は大人で教師だ。生徒を騙すことなどしようと思えば容易いだろう。

「えーっと、……言えよハリー」
「何で僕に振るんだよロン！」

やいやいと押し付けあう2人に痺れを切らしたハーマイオニーが、溜息混じりに質問を切り出した。

「はぁ、もう。Aがルーピン先生に愛の妙薬を飲ませたんじゃないかって噂なんです」