シアターと眼差し ページ10
翌日、外出の準備ができた私とリーマスは、近くの映画館へと徒歩で向かう。有難いことに、映画のチケットは事前にライアルさんが入手してくれたらしい。
外に出れば、強い日差しが遠慮なしに私たちに降りかかるが、たまに吹き抜ける風は心地よい。
良い天気にご機嫌に歩いていると、すれ違う人々が度々私を怪訝そうに見ていた。
「アジア人か…」
すれ違いざまにぼそりと呟いた強面のおじさん。その表情には明らかに侮蔑の意が含まれていた。
ホグワーツほどの激しさはないが、やはりどの地でも人種差別は起こるもの。大人でさえ私をその目で見る。
気にしないと言えば嘘になるが、簡単には無くならないそれに少し悲しくなった。
「…A」
「ん？なに？」
「……何でもないよ」
「えぇ、気になるじゃん」
リーマスは苦笑いした後、顔を伏せた。
人一倍優しい彼のことだ、きっと私のために苦しさを感じているのだろう。
これ以上要らぬ心労をかけたくなくて、私はいつも通りの明るさで過ごすことを心に決めた。
歩くこと約20分。私たちは映画館に到着した。
どの学校も今は夏休みなのか、館内は若者たちでごった返している。
恋人同士、友達同士、家族同士で来ている人など、様々であった。
館内のポップコーン売り場の近くに来たところで、リーマスは徐にズボンのポケットから財布を取り出した。
「A、ポップコーンとジュースを買ってくるよ。何が飲みたい？」
「うーん、アイスティーかな」
「分かった。行ってくるからここで待っててね」
そう言ったリーマスは足早にスタスタと売り場の列に並んで行った。
奢られるのは割りに合わないので私も払おうとしたが、恐らく彼はそれを分かってて早く並びに行ったのだろう。
そう言うところはやはり紳士だなぁ、と独りごちたとのころで、2人の男たちに絡まれた。
大人びた容姿をしているが、多分15歳かそこらの少年だろう。
「ニーハオ、中国人。この町に何の用だよ」
「映画を観にきただけです」
「お前らの居場所なんて無え。さっさと国に帰れ」
わざと下手くそに中国語の挨拶をするその少年。
その悪意に満ちた行為は中国人にもその他のアジア系の人にも失礼だ。
あまりにも意地が悪く、そんな彼らに辟易としていると片方の奴に思い切り肩を押されて地面に尻餅をついた。普通にケツが痛い。
「不細工なモンキーフェイスはとっとと消え失せろ」
「あぁ、こいつらはニグロより質が悪い！」
また差別か。ふざけやがって。
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
