君の家に ページ7
校長から無事許可がおり、私は晴れてルーピン家へ行けることになった。
そして当日。貸してもらったトランクに着替えや歯ブラシセットを詰める。マリーちゃんは「行ってらっしゃい、素敵な夏を」と笑顔で見送ってくれた。私の中での天使枠が確定した瞬間である。
準備ができたところで、私はリーマスと共に汽車へ乗り込んだ。適当に開いているコンパートメントを見つけ、座り込む。リーマスは私の隣へと腰掛けた。
途中で何か菓子折的なものを購入しようとしたが、リーマスに「気を使わなくて良いからね」と静止され、仕方なく止めた。
「手ぶらで行っても失礼にならない？」
「なるわけがないさ。逆に僕が怒られちゃうよ」
「えー」
「その手土産のやりとりは日本の習慣なのかい？」
「あー、家によるね。私ん家はそういうのに割と厳しかったから」
あ、やべ、今の私、孤児院出身設定じゃん。
恐る恐るリーマスを見たが、彼は「ふーん」と相槌を打っただけで特に何も言わなかった。良かった。
「お泊まりは楽しみかい？」
「うん、勿論」
「それは良かった。僕の両親も今か今かと楽しみにしてるそうだよ」
リーマスのご両親は彼と同じくきっと暖かい人らなんだろうな。
そう心の中で呟いた。途端に自分の両親のことを思い出し、胸が少し痛くなる。
この世界にきてもうすぐ4年になる。現実の私の両親は今、どうしているのだろうか。放任主義の両親とは言え、心配してくれているのだろうか。
じわじわと暗い気持ちになっていく。
そんな私の雰囲気を察知したのか、リーマスは私の太腿に置かれた手を、包み込むように握った。
「大丈夫だよ。寂しい想いなんて僕がさせない」
そう真剣に言う彼の目の奥からは、強い意志を感じた。
何だか面食らって、ぽかんとする。きっと今の私の表情は間抜けだろう。
「……ありがと？」
「うん、どういたしまして」
ふわりとリーマスは笑う。その表情に、私の胸は日が差したように暖かくなった。
今は悩んでも仕方がない。取り敢えず目の前のことを楽しまなければ。その後で悩めば良い。
自分を鼓舞するようにそう言い聞かせる。先ほどよりは心が軽くなった。
「私、この夏思いっきり楽しむ！」
「うん、そうしようね」
「だからリーマス、夏休みの課題写させて」
「それはやだ」
先ほどとは打って変わって、リーマスの目は笑ってなかった。温度がまるで無い。
「課題は自分でやろうね。返事は？」
「はい」
有無を言わさぬ圧がそこにあった。
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
