シェアハウス ページ47
どういう訳だかサクラバの家に泊まって良いことになって、俺は戸惑いが隠せなかった。
こんな小さい家で年頃の男女が2人きりなんて、危機感がなさすぎる。これが俺相手じゃなく他の男だったら、なんて思うと少しゾッとした。
そんな俺の思いなどつゆ知らず、サクラバは近所の店から態々急いで買ってきた男物の着替えを寄越してきた。用意周到だ。
「はい、これ着替えのシャツとズボンと下着」
「下着…、お前よく他人のやつを平気で買ってこれたな」
「気にするのが面倒くさくね？」
「ほんっっとお前のそういうとこすげーよな」
「褒めてんの？」
「皮肉だよバカ」
こっちは変に意識してるっていうのに、サクラバはまるで気にしてない。
どこか慣れた様子でそそくさと俺が泊まる準備をしている。
「ほら、ブラックの服、土埃で汚れてんだからさっさと脱いで着替えてよね。汚いよ」
「分かってるっての」
「寝室は分かってるよね？」
「おう。お前はどこで寝るんだよ」
「そこのソファ」
そう言ってサクラバが指差したのは古びたソファだ。カバーの安っぽい生地が所々擦れて毛玉を作ってる。それに小さいし狭い。座る分には良いだろうがサクラバの体格的にも寝心地は悪そうだ。
こんなところに女を寝かせるなんて正気か…？絶対に体の節々を痛めるだろ。
「おい、こんな所で寝たら風邪ひくぞ」
「ブラック大袈裟すぎー。ひく訳ないじゃん」
「風邪ひかなくても身体痛めるぞ。やめろ」
「じゃあどこで寝ればいいの？床？」
「……一緒にベッドで寝るか？」
「やだよ。てかブラックはベッド譲らないんだね。別にいいけど」
俺の提案はばっさりと斬られ、サクラバはさっさと食器を片付け寝る準備へと取り掛かっていった。べ、別に傷ついてないからな。
＊
寝る準備を一通り済ませ、着替えた俺は寝室へと向かおうとした。
暗い廊下へ行こうとした矢先に、サクラバに声をかけられる。
「あ、ブラック」
「ん？」
「この夏休みさ、好きなだけウチにいていいからね」
思いがけないサクラバの言葉に俺は固まる。てっきり「親が心配してるから早く帰れ」と言われると思ったからだ。
帰るつもりはないが、この場所に長居するつもりもない。明日にでも俺はここを発とうとしていた。
「お前、俺がいて迷惑じゃねえの」
「そんなの今更じゃん」
「深く聞かないんだな、俺の事情」
「まあ、大体は察しがついたし」
気が済むまで好きにしなよ。
それだけ言い残してサクラバはソファへと戻っていった。
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
