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私が顔を上げれば、彼も申し訳なさそうに顔を歪め、「あー」と後頭部をガシガシと乱暴に掻いた。
「俺も、その、ごめん。お前の大切なもん、壊しちまって…。それはマジで、申し訳ないと思ってる」
「あの、ひとつ聞いてもいい？」
「なんだ？」
「ブラックは、どうしてあの時怒って壊したの？」
「そ、それは……」
床に視線を落としたまま、ブラックは言葉を続けた。
「何であの時、俺がスケッチブックを壊したかは、教えられねぇ」
「そっか」
「悪ぃ。図々しいかもしれねえけど、それは、俺の気持ちの整理がついたら必ず教えるから、だから、待っててくれないか」
「うん、わかった」
私がそう答えると、ブラックは安心したように笑った。
何だかんだでブラックも悩んでいたらしい。真剣に受け止めていた彼の態度に、私は少しだけ嬉しくなった。胸のつっかえが一つ取れた気分だ。
「あ、ところで、ブラック、帰らなくていいの？」
「あぁ、忘れてた」
「親御さん心配してると思うよ。もう外も暗いし」
「い、いや、その、実は…」
「？」
ブラックは言いづらそうに頬を掻き、ぼそりと自信なさげに告げた。
「家出、してきたんだ」
「はぁ！！？」
とんでも内容に思わず大声をあげる。叫んだらご近所迷惑になるということは頭からすっぽりと抜けていた。
私の叫び声に、ブラックはビクッと反応し、眉に皺を寄せた。
「うるせえ」
「ごめんごめん、びっくりして…。え、ここにどうやってきたの？」
「瞬間移動魔法できた」
「ちょっと、魔法使っちゃ駄目じゃん！ホグワーツから規則破りの連絡こなかった！？」
「いや、来てねえ。もしかしたらブラック家の圧力かもな」
「えぇ…」
「兎に角、俺はあの家にすぐには帰らねえ」
ブラックはそう言って、口をきゅっと一文字に結んだ。そこには彼の意思の固さを感じる。
しかし無鉄砲にも程がある。見るところ彼は何も持っていなさそうだし。
「帰らないったって、どこで寝泊りするのさ」
「適当に野宿する」
「はぁ？馬鹿じゃん。危ないからやめなよ」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
「暫くはうちに泊まりなよ」
「は！？マジで言ってんのか？」
ブラックが酷く驚いたようにこちらを見た。
「野宿よりはマシじゃん」
「だからって、おま、男と女だぞ！？」
「意識しすぎじゃね？まったくこれだから思春期ボーイは…」
はぁ、と私がため息をつけば、彼は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「う、うるせえ！あぁいいよ上等だ泊まってやる！」
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
