気不味い目覚まし ページ43
夏休みに嫌なブラック家に帰省した俺は、帰省早々母親から説教を受けている。
押し付けがましい純血主義の理論やブラック家の長男としてのあるべき姿、弟との比較、ホグワーツでの生活について等々、挙げたらきりがない。
「聞いているのですか、シリウス」
あぁなんてごちゃごちゃ煩い。生まれた家が偶々ブラック家なだけで、なぜ俺は俺らしく生きられないんだ？
純血かそうでないかなんて、そんなものどうだっていい。純血の魔法使いより優れたマグル出身の奴なんてホグワーツを探せばいくらでもいる。だから血なんか結局のところ関係ない。
「…るせぇ」
「何ですって？」
「うるせぇって、言ってるんだよ！！」
窮屈な家にうんざりした俺はとうとう耐え切れなくなって、瞬間移動魔法である姿くらましの術を使いブラック家から抜け出そうとした。
高度な術であるそれは、特別な指導を受けなければならないうえに、未成年の使用は禁止されている。
年齢も達していなければ指導も受けていない俺の術は成功するはずもなく、術によって体に受けた衝撃に耐え切れずにそのまま失神してしまった。
＊
目が覚めたら見知らぬ天井が一番に目に入った。
そして何故か体が涼しいと思ったら首元や脇、太腿の付け根に氷嚢が置かれていた。
その上いつの間にか着ていたシャツのボタンがいくつか外されベルトも緩められている。
夏だから俺が熱中症で倒れたと思ったのだろうか。
取り敢えず俺に処置をしてくれたのはこの家の家主で間違いはないだろう。
家主を探すべく、俺は寝かされていたベッドから起き上がり、部屋から抜け出した。
「おい、誰かいるか」
声をかけながら家を観察してみる。見れば見るほど俺の家より遥かに小さく狭い家だということがわかる。部屋があれば手当たり次第にドアを開けて見てみるが、誰もいない。
家主を探すために家のあちこちをグルグル回っていると、不意にガチャリとドアの開閉音が聞こえた。きっと玄関からだ。
俺は少し迷いながらも玄関の方へと足を運んだ。そして、現れたそいつに目を見開く。
「なんで、サクラバが…！？」
「あ、起きたんだ」
両手いっぱいに荷物を抱えたサクラバが、けろっとした表情で俺を見ていた。
孤児ゆえに毎年ホグワーツで夏休みを過ごしているサクラバが、学校外にいるはずがない。
え、何でだ、どうしてだ、俺は今、術の副作用で幻覚を見ているのか…！？
サクラバがいることが信じ切れず、俺は再び失神した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
