どんより夏休み ページ41
ブラックを殴ってしまったあの喧嘩から何も進展したことはなく、私たちはとうとう夏休み当日を迎えてしまった。
結局私はブラックに謝ることも、セブルスと仲直りもできなかった。
罪悪感で死にそうだ。特にブラックにはどの面を下げて謝ればいいのだろう。物を壊されてカッとなったとはいえ、怒りに任せて手を上げるのは人として最低だ。例えそれがどんな相手でも。
暗い面持ちでホグワーツ特急に乗り込んだ私は、列車に揺られながら流れ行く景色をただ独りでぼーっと見ていた。
因みにリリーはセブルスと乗ったため、私は気まずくなることを恐れて独りで空いてるコンパートメントに入った。
慌ただしく過ぎていく緑を眺めていると、不意にトントンとドアをノックされる。誰か来たのだろう。私は重たい腰を上げてドアを開けた。
「やあ、A。隣、良いかい？」
大きなトランクを抱えたリーマスが、額に汗をかきながら立っていた。
「リーマス…。他の3人は？」
「僕らがいたコンパートメントには既に人がいて、３つしか座る場所がなくてね」
「あぁ、だから1人なんだ」
「そう。ここは空いてて良いね」
暑さ故に垂れる汗をハンカチで拭い、リーマスは荷台へトランクを置く。そして私の隣へと腰を下ろした。
正直に言うと、他の3人がいなくてホッとした。ペティグリューはともかく、ポッターやブラックとは顔を合わせづらい。
「他の3人じゃなくて僕が来て、安心した？」
「！」
「顔にそう書いてあるよ」
悪戯っぽく笑ったリーマスに、ちょん、と鼻の頭を突かれる。少し擽ったい。
透き通ったリーマスの双眸に、まるで自分の心の裏まで見透かされていそうだ。よく人を見ているだけある。
鋭い観察力に、私は思わず苦笑した。
「はは…、リーマスにはお見通しなんだね…」
「Aのことだからね。僕にはすぐ分かるよ」
「参ったなぁ…」
この様子だと、ブラックとの間に何があったかリーマスは知っているのだろう。あぁ、やはり気まずいなぁ。
「安心して。僕からは何も聞かないし、言わない」
「……本当にリーマスって14才？大人じゃない？」
「ふふ、言っただろう？Aのことならすぐ分かるんだ」
優しい目をしたリーマスが徐に私の手を取り、そして自身の手を重ねた。ころん、と何かが掌で転がる感触がする。
「はい、チョコレートだよ。元気が出る」
「ふふ、ありがとう」
チョコを私に渡した彼は、「それじゃあ着いたから、僕は降りるね」と列車を降りていった。
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
