・ ページ37
「……は？んだよ、これ」
「？」
声に怒気を含んだブラックが、私のスケッチブックを睨む。そして、それを勢いよく私の手元から取り上げた。
「…んで…、スニベルスが…」
「ブラック…？」
ブラックが見ているページを覗けば、そこにはさっきまで私が描いていたセブルスがいた。その横には女性らしく丸みを帯びた輪郭のみの人物が描かれている。きっとこれはリリーを描こうとしていたのだろう。
あぁ、そうか。無意識に描いていたのは風景画ではなく、セブルスたちだったのか。
無意識の内ですら、彼らと元通りになることを、願っていたのか。
「これも、このページも、どこもかしこもスニベルスばっかじゃねぇか…！」
「ちょ、ブラック？」
パラパラと乱暴にページをめくる音と共に、ブラックのグレーの両目が忙しなく左右に動く。
心なしか動揺しているように見える彼の様子に、わたしは困惑するばかりだ。
「いや、ちょっと、乱暴に扱わないでよ。それ、セブルスからの誕生日プレゼントなんだからさ」
「は、？」
信じられない、とでも言いたげな表情のブラックが、途端に彼の手にあるスケッチブックを思い切り破り捨てた。
「こんなものッ、！」
「え…、あ」
リングの金具部分がイカれ、無惨にバラバラなったページたちに、私はあんぐりと口を開けて唖然する。
セブルスから貰った大切なものが、私が描いたセブルスや他の友達のスケッチがたくさん詰まった思い出のものが、全て地面に散らばった。
沸々と、今までに感じたことのないくらいの心の痛みと、燃えるような怒りが湧き上がる。
「シリウス・ブラック、なんで、あんたはこんなことを」
「だっ、だって、」
「ッ、ふざけんな！！だってじゃない！！答えろ！！」
私は初めてブラックへ怒鳴りつけ、その上彼のネクタイを思い切り引っ張り上げた。
「なんで、何でサクラバがそこまで必死になるんだよ…！！？お前、あんなスニベルスなんかに気があるのかよ！！」
「だったらなに！？それとこれの何が関係あるの！！？」
スニベルスなんかって、ブラックはセブルスの何がわかるんだ。そんなに、セブルスのことが憎いのか。
これほどまでに事態を掻き乱しておいて、なぜ、なぜ、なぜ_______________！！！
今までに溜まっていた不満が、爆発した。
「ッ、！！」
パシン！と乾いた音が辺りに響く。
「っい"、ッ…！！？」
気づけば、私はブラックの頬を思い切り引っ叩いていた。
「あんたなんかッ、大っ嫌い！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
