腹を割りましょう ページ14
ルーピン家に泊まり早3日目。今日は生憎の雨だった。耳を澄ませばポツポツ、ぼたぼたと雨音が聞こえてくる。
こんな天気が悪い中、どこかへ遊びに行こうというわけにもいかず、私とリーマスは学生らしく今日一日を勉強に充てることにした。
現在リーマスの部屋にて勉強中。無駄話は一切せずに、ただただレポートを仕上げるのみ。
最初は集中できなかったが、数分間やってみると意外に悪くない。教科書を捲る音とペンを走らせる音が何だか心地よかった。
「ねえ、A」
「んー？」
リーマスが徐に声を掛けてきた。私は顔を上げずに、手を動かしながら返事をする。
「あ、あのさ」
「うん」
「その、…」
「うんうん」
「あの、僕…」
「うん」
「あの、ね？」
「うん、聞いてる聞いてる」
中々言い出さないリーマス。良い加減気になって顔を上げると、彼は金魚のように口をパクパクさせるが、声には出さなかった。
言葉にすることが難しいことなのだろうか。それともどう伝えようか悩んでいるのだろうか。
彼の真意がわからず、私はひたすら首を傾げるばかりである。
「言いずらいなら筆談でもいいんだよ？」
「ちが、違うんだよ…」
「そう？」
まごつかせるリーマスを急かすことなど出来ず、私は勉強する手を一旦中断させて、彼の言葉を待つことにした。
「あ、あの、」
「うん」
「ぼっ僕は、じ、ん」
「じん？」
リーマスの額から冷や汗が一筋の線になって机に垂れ落ちた。落ちた汗は木製のテーブルに染み込み、色を濃く変えた。
何やら息も荒く、彼のペンを持つ手もぶるぶると小刻みに震えている。
よほど緊張しているのか、顔はいつにも増して白くなっていた。何だか答えを待つのも段々と気が引けてくる。
「言いたくなかったら無理に言わなくてもいいんだよ？」
「それじゃあ、ダメなんだ…。僕は、言いたいんだ…」
そうリーマスが言うので、仕方なく更に待つことにした。
コチコチと鳴る時計の音と雨音のみが静寂を彩る。
あまりにも暇なので、私はリーマスから視線をやや数センチ外して壁のシミを数えることにした。特に目立ったシミは無く、ものの5秒でそれは終わる。
リーマスが言いたいことはなんだろう。
実は僕、心は女の子なんだ、とか？別にどっちだろうが気にしない。自由にすればいい。
だがそこは友人として何か特別なことを言うべきだろうか。
そう適当に考えたところで、やっとリーマスはその重たい口を開いて私に告白した。
「実は、僕、人狼なんだ」
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
