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「リーマス、落ち着いた？」
「うん…。さっきはごめん」
先ほどの怒りから一転し、物凄い後悔が波になって僕に押し寄せる。
情けなく項垂れる僕を気にせず、Aは僕の背中を只管優しく撫でてくれた。
「映画も予定時間に間に合わなくなったし、ポップコーンだって君に買い戻しさせちゃった」
「イイって！特別に次の時間のチケットもらえたし、私ばっかりお世話になるに訳にもいかないしさ」
ただ、と彼女は言葉を続ける。
「私のために怒ってくれてありがとう。それだけで充分だよ」
「A…」
慈悲深い笑みを浮かべる彼女に泣きたくなった。
どうしても許せなかったんだ。彼女を侮辱されるのが。
道行く人が皆彼女を蔑むように見て、そして遂には直接手を下して。
だから溜まりに溜まった怒りが爆発した。目の前が真っ赤に染まったあの瞬間を今でも覚えている。
あの時の僕はまるで獣だ。
あと1週間余りで満月の日が訪れる。その影響もあって、破壊衝動が抑えれなかったのだろう。
だが、それを言い訳にしてはいけない。
何がどうあれ僕のせいで楽しい1日がめちゃくちゃになった。
全部僕のせいだ。僕が映画を観ようだなんて言ったから、彼女を無意味に傷つけてしまった。
じわじわと浸食するように、醜い思いで胸が痛くなっていく。
すると、不意に彼女に声をかけられた。
「こらこらリーマス」
「…？」
「自罰的な考えは今は捨てなよ。ほら！あと10分で映画だよ？夏を楽しむんでしょ？」
そう言ってAは僕の肩を軽く叩く。
そうだ、昨日僕はAに楽しもうと言ったばかりじゃないか。
やはり僕は彼女に励まされてばかりだ。
「うん…」
僕が頷いたところで、シアターの開場を告げるアナウンスが流れた。
＊
父さんがとったチケットはどうやらラブロマンスものの映画だった。
映画も中盤に差し掛かり、今は主人公である男が恋人とキスをしている。それもかなり濃厚な。
盛大なリップ音が流れる中、僕はその大人な雰囲気に恥ずかしくなってスクリーンから顔を逸らした。
僕の心臓はバクバクと激しく動いている。だってそりゃあ女の子とこんな映画を観るなんて初めてで恥ずかしいに決まっている。
隣に座るAはどんな反応をしているのだろう。
ふと気になって、僕は隣を見た。
「……A、寝てるの？」
呼びかけに反応しない彼女は、頭を下げて夢の世界へと旅立っていた。
それが彼女らしくて笑う反面、僕は少し残念な気持ちになった。
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桜丸 - 更新待ってます！ (2022年10月3日 15時) (
レス) @page28 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - たちばなさん» コメントありがとうございます〜！笑っていただけるとは…！！嬉しい限りでございます！モチベにつながります！本当にありがとうございます！ (2020年12月9日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
たちばな - 更新楽しみにしてました！！見ていない間に2話も更新されてて秒で読んでしまいました笑 これからも頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 3ae7e914ee (このIDを非表示/違反報告)
れいとーこ(プロフ) - アヤキさん» うわーー！嬉しいお言葉ありがとうございます！私生活の都合で亀更新ですが、一応結末は決めているので気長にお楽しみください！ (2020年12月8日 22時) (レス) id: 04deb82a8f (このIDを非表示/違反報告)
アヤキ - 更新ありがとうございます！好きなお話なので定期的に見に来ていますwこれからも頑張って下さい、応援しています！ (2020年12月8日 17時) (レス) id: df8558907b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいとーこ | 作成日時：2020年5月10日 15時
