なう ページ19
仕事がひと段落し、あとはもう帰るだけだ。午後の予定が空いててよかった。これで半日はゆっくりできる。
そうホッと一息ついて、スマホのロック画面を見て通知の確認をする。
すると、弟からLI◯Eが来ていた。そういえば今日家に来るって言ってたな、と思い出しながらLIN◯を開く。
『吉沢亮くんとゲームしてるなう』
その文章と共に、弟と吉沢くんのツーショット写真が送られていた。何してんだ弟。というか、何で家に吉沢くんが?
取り敢えず早く帰らなきゃ。急いで近くのタクシーを拾い、自宅に向かった。
*
「芳樹!あんた何で吉沢くんと一緒にいるの!?」
「いまマリカーしてっから後でね」
「おい!」
吉沢くんと仲良く寝そべりながらDSでマリカーの通信をして遊んでいる弟。
久々に再開した姉よりゲームか。何だか置いてけぼりにされてて寂しいしちょっと腹が立った。
やっと終わったのはそれから20分後。
「で?それでどうして吉沢くんがウチに?」
「姉ちゃんスケージュール帳忘れたんだって。亮くんの楽屋に」
「はい、Aさんのスケジュール帳」
ぽん、と吉沢くんに手渡されたスケジュール帳。
そうだ、これ失くしたと思って最近探してたやつだ。
見つかって良かったなぁ、と吉沢くんから手帳を受け取る。
「届けてくれてありがとね、吉沢くん」
「いえいえー。芳樹くんとマリカー楽しかったし」
すっかり打ち解けたのか、笑みを浮かべながら弟と目を合わせる吉沢くん。
「今度は実家に遊びに来てね!亮くん!」
「無茶言わないの。吉沢くんは忙しいんだから」
べしっと弟の頭を軽く叩く。
「うん、遊びに行く」
「よっしゃ!母さんたちも喜ぶよ!朝ドラ見てるし」
「それは嬉しいな」
男同士の友情ってやつなのか、もう本当に2人は仲良しだ。女の私は取り残されて、何だか2人に見せつけられてるみたい。
まあ、2人が楽しそうだから良っか。
「芳樹、今晩何食べたい?」
「焼肉!」
「はーい。吉沢くんも良かったらどう?」
「うん、行きたい」
話が落ち着いたところで、私と弟と吉沢くんの3人でパーっと焼肉に行くことにした。
私がお手洗いに行く時、弟と吉沢くんは、何やらコソコソと話していた。一体何を話していたのだろうか。
(亮くんいつ実家くるの?)
(うーん、あまり人目につくと駄目だからなぁ…)
(あ、そっか)
(でも、榊Aさんが吉沢Aになったらいつでも気にせず行けるかもね)
(…!お義兄ちゃん…!!)
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作者名:れいとーこ | 作成日時:2019年7月27日 0時