暇人たち ページ2
ドラマ撮影も映画撮影もバラエティ撮影も雑誌の撮影も何にもない貴重な休日。
さぁどうやってこの休日をエンジョイするかな、と女優である榊 Aは朝食をとりながら考えていた。
「んー、TU○AYAで借りた映画でも見ようかなー」
テレビから流れる朝の情報番組を眺めながら、彼女は独り言をつぶやいた。すると、テーブルに置いてあるスマホから着信音が鳴る。
ディスプレイを見てみると、「中村倫也」という文字が。はて、なんの用だろうか。不思議に思いながらAは通話ボタンをタップした。
「はいもしもし」
『おっはー、Aちゃん』
「おっはーです中村さん。何か用事でも?」
『君さ』
「はい」
『暇だよね?オフだよね?』
「はい」
『一緒に遊ばない?Aちゃん家行ってもいい?突撃となりの朝ごはんしちゃってもいい?』
「しちゃダメですね。あと隣って言うほど家近くないでしょう中村さん」
『えー、いいじゃん。ちなみにオフのご予定は?』
「借りてきた映画を観ます」
『いいね。お菓子買っていくからよろしく』
「あ、もう来る前提なんですね」
「それじゃー」と緩い口調で通話を終わらせられ、暫くAは呆気にとられていた。
全く中村さんの気紛れには困ったものだ、と彼女は溜息をつく。
早く朝食を摂って着替えなければ。
メイクは、まぁそれなりに仲が良い中村さんだしいいか。
あと紅茶かコーヒーを出すためにお湯も沸かさなければ。
オフの日以外は寝るだけなので部屋はそれほど散らかっていない。掃除機をかけるくらいで良いか。
この後に向けてのすることを頭の中で構築しながら朝食を口に運ぶ。
冷めたトーストはパサついていて、あまり美味しくなくなっていた。
*
「こんちわー」
「はーい。いらっしゃいませ」
「いらっしゃいました。お邪魔しまーす」
「これ、どうぞ」とスナック菓子やチョコレート菓子、クッキーの詰め合わせなどが入ったレジ袋を渡される。Aはお礼を言ってそれを受け取り、彼を部屋へ促した。
「なんの映画観る予定だったの?」
「孤狼の血です」
「えっもしかして俺が出てるから?永川恭二?もしかしてそういう男好きなの?」
「いや準新作で面白そうだったから…」
「わー、Aちゃんのその正直なところ俺大好き」
映画鑑賞後、Aは「ガミさん…」と涙ぐんでいたそうな。
(永川恭二は?)
(最初の登場シーンがちょっとしたトラウマになるほど凄かったです)
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作者名:れいとーこ | 作成日時:2019年7月27日 0時