取れなくなった ページ47
傷だらけで、船員の前にすら姿を見せなくなったA。
あの剣士はそれを気にかけた風はない。むしろ、居なくて当然という顔をしている。
「…A?居るのか」
『サンジか。ごめんな、今あんまり人と話したくないんだ』
「ここんところずっと部屋に籠ってるじゃねェか。いい加減にしないと体壊すぞ」
男部屋をノックするも、くぐもった声が返ってくるだけで、動く気配はなかった。
『……また、来たね』
「あぁ。あいつらも必死だからな」
もう何度目かも分からぬ海軍との戦闘。しかも○○を狙った攻撃ばかりである。
なんでも、彼女の美しさを天竜人が気に入ったらしい。
『…あれ、沈めてくるよ』
布で顔を隠し、軍艦へと飛び移ったA。ものの数分で甲板に人影はなくなり、救急ボートが落とされ、軍艦自体は沈んでしまった。
帰って来たAは血塗れで、返り血かも負傷かもわからなくなっていた。
「いくら何でも無茶しすぎだ!!!」
『いいんだよ、サンジ。大丈夫だから』
儚い、それでいて強い意思を持った表情に何も言えなくなった。
○○は確かに素敵なレディだ。だが心を奪われた相手が居るのに落ちるかと言われたら、そんなことはない。
芸術的で美しいだけだからだ。
○○が来て、半年経った。クソマリモが変わることはなく、Aだけが変わっていった。
戦闘が始まる前から胸騒ぎがしていた。特にAにはずっと気を配っていた。
『サンジ!!集中しないと危ないぞ!』
「あー、わーってるよ!!」
なんとか無傷がで戦闘は終了したかに思われた…
『ゾローっ!!!』
○○を庇い、あのゾロが背を向けた瞬間。銃口がゾロに狙いを定めた。
Aは声を上げて駆け寄り、代わりに凶弾を受け、そのまま船縁までよろめいた。
『ゾ、ロ……幸せに、なってくれ…』
張り付けた笑みでゾロと○○を見やり、Aは海に落ちていった。
表情を変えることもなく。
「今の落ちた人、ゾロを助けてくれたね。誰なの、あれ?」
○○はまず自分が無事かを確認し、さして興味もなかったという雰囲気を丸出しでそう言った。
「良かったね、ゾロも私も無事で!!」
最期まで、Aはゾロへの恋心を隠して、笑っていた………
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おトク(プロフ) - 妄想して寝れる…んんんおじさま受け最高しんどい (2019年7月31日 18時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - はじめまして佐渡の音さん感動的でしたほとんどが泣ける話で泣きたくなったときに読ませて貰います。涙が止まりません。これからも更新頑張って下さい。応援しています。 (2017年10月7日 13時) (レス) id: 09ba0af9d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2017年6月30日 23時
