手遅れ ページ5
×おそ松 ﾚﾝﾀﾙ彼女ﾈﾀ 悲恋
『…六つ子限定の割引ねぇ』
松野家長男と一応恋人の仲であるAは、偶然見つけたレンタル彼女なるもののチラシを拾った。
明らかに怪しい雰囲気を醸しているにも関わらず、恐らくあの六つ子は迷わず信じたことだろう。特に、女に目のないおそ松は。
『んー、まぁすぐその熱も冷めるだろ』
寂しい気持ちを押し殺し、松野家を後にした。
かれこれ一ヶ月は経っただろうか。おそ松から何の音沙汰もないまま、ただ時間だけが過ぎていった。胸を覆う焦燥感は日に日に増していき、抑えることも難しくなってきた。
『…おそ松』
やっぱり女が良かったんだ。俺の情けない告白に同情して、付き合ってたんだ。いい機会だったから、レンタル彼女に飛び付いて、こうして連絡も取らないのだ。
涙が自然と流れる。いつかおそ松と同棲ができるようにと借りたこのアパートとも、お別れしなければならないかもしれない。
『………俺じゃ、駄目だったかな』
ボヤける視界の中、必要なものだけをまとめる。付き合って長いのに、おそ松がここに泊まったのも片手で数えられる程度しかない。
案外荷物はないもので、おそ松の私物が一切なかったのも相まってトランク一つに収まった。
管理人に解約料を払い、合鍵も全て返した。そういえば、おそ松が合鍵を欲しがることもなかった。つまりはその程度だということだろう。
『…お世話になりました』
「いいのかい?あの赤い兄ちゃんと一緒じゃないみたいだけど」
『はい…他にやることがあったみたいですから』
管理人さんの話をかわし、荷物を抱えてアパートを出る。
勿論、おそ松には伝えてある。手紙という形ではあるが。
おそ松へ
今日、引っ越すことになりました。
いつかはお前と住もうと思ってたアパートだけど、実現することもないようなので、さっさと出ることにしました。
解約料は高かったけど、俺がおそ松を無理矢理付き合わせていた償いと考えたら、安いものだと気付きました。
こんな俺でごめんな。この街は出て行くつもりだから、許してくれ。 Aより
レンタル彼女の正体が馴染みの男二人だと知り、制裁を加えていたら、気付くと一ヶ月以上も経っていた。
電話の一本も寄越さないAに、最初は拗ねているんだと思っていたが、俺宛の手紙を見てから違うと気付いた。
届いたのは二週間も前だ。
「A、Aっ!!」
Aの姿はどこにもなかった。
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おトク(プロフ) - 妄想して寝れる…んんんおじさま受け最高しんどい (2019年7月31日 18時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - はじめまして佐渡の音さん感動的でしたほとんどが泣ける話で泣きたくなったときに読ませて貰います。涙が止まりません。これからも更新頑張って下さい。応援しています。 (2017年10月7日 13時) (レス) id: 09ba0af9d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2017年6月30日 23時
