終わりは突然に ページ29
×黒足
『へぇ…ボア・ハンコック、ねぇ』
絶世の美女、海賊女帝、様々な異名を持つ彼女を目にした時、俺の恋人・サンジはアホみてぇにハートを飛ばしていた。
久し振りに再会したにも関わらず、恋人である俺への挨拶は適当で、ナミやロビンばかりと話している。ゾロとだって話している。
『…ふぅ……一人煙草吸っても、何も面白くないなぁ』
夜景を眺めながら、俺は煙草をふかす。
『サンジ、最後には俺のもとへ来てくれるよな…』
涙をこらえながら、台所でサンジの帰りを待つことにした。結果、サンジは帰って来なかった。
一晩、ずっと一人で煙をふかしたり、簡単に片付けを終わらせたりしてみたが、サンジが帰ってくる気配すらない。
「ただいま」
『お帰り。また甘い匂いさせて…』
「まァな」
俺の落ちた気持ちも知らないで。
腹が立つより先に、すとんと胸に落ちるものがあった。
『女が、好きだもんな』
「レディは愛するべき華だからな」
『……もう、さ。限界なんだけど』
遂に言ってしまった。酔っているサンジは特に何も感じなかったのか、とんでもないことを口にした。
「Aもたまにはレディと話してみろよ」
それは、俺が浮気をしてもいいってことか?むしろ、やれとでも言うのか?
お前の俺への執着はその程度かよ。
酒が入っているから、ただの勢いで言っているだけだから、そんな思いが次々浮かんでは、消えた。
『サンジ、別れよう。俺が悪かった』
「え?」
『無理に付き合わせてたみたいだし。俺が女と話してそっちに落ちるの、待ってたんだろ?待たせて悪かったな。もう、いいよ』
一気に捲し立て、サンジの返事を待つ。サンジは口を開閉して、まるで魚のようであった。
「A?冗談だよ、な?」
『冗談なもんか。お前を苦しませてたんだから、早く楽にさせねぇとな』
「い、や、別に、苦しくなんか」
『気ぃ遣わなくていいぜ?これでただのクルーに戻れるんだから』
サンジは困惑した様子だが、拒否する意志はないようであった。やっぱりな。
『ありがとう、サンジ。二年も待たせてごめんな。また、同じ麦わらのクルーとして頼むよ。コックさん』
さよなら、俺の恋人。
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おトク(プロフ) - 妄想して寝れる…んんんおじさま受け最高しんどい (2019年7月31日 18時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - はじめまして佐渡の音さん感動的でしたほとんどが泣ける話で泣きたくなったときに読ませて貰います。涙が止まりません。これからも更新頑張って下さい。応援しています。 (2017年10月7日 13時) (レス) id: 09ba0af9d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2017年6月30日 23時
