あいつは ページ8
桃鳥視点
変わった野郎がいた。
暇潰しに恋人ごっこを始めた。
俺は最初はお遊びだった。
あいつも、そうだった。
だが気付けば、互いに本気になっていた。
俺はただ、困惑した。
本気になったことが、なかった。
だから、気を紛れさせる為に、その町一番の美女だと言う女と、一日だけ遊ぶことにした。
偶然、あいつの店に入った。
女がここの新デザインが人気だのと言い、そういえばあいつが何か言っていたと思い出した。
どこまで俺はあいつのことを考えているんだ、と自分で自分に呆れた。
あいつが、居た。俺に気付いたようで、にこやかにこちらを見たが、隣に並ぶ女を見て、笑みが凍った。
『…………お客様、お気に入りが見付かると、良いですわね』
複雑そうな、というより苦しそうな表情で、あいつはそう言った。
引き留めようかと思ったが、急に拒絶されるのでは、という恐怖が襲いかかってきた。そのせいで判断が遅れ、あいつは帰ってしまった。
あいつに拒絶される?だからどうした。
俺は何を迷った?迷うことなどないというのに。
「……ふん、この俺を拒絶?フッフッフッフッ!!野郎なんか、こちらから願い下げだ」
だから、あいつと別れることにした。
いや、違う。出会った時の関係に戻すのだ。偶然酒場で出会っただけの、薄い関係に。
『そう、ね…男同士じゃ、非生産的だものね。ワタシとしては、いい思い出になったわ。ありがと』
『ワタシ、ワタシはアナタに惚れてたわ。でも所詮、ワタシは男ですもの。仕方ないわ。いつぞやの可愛いらしい方は女ですものね。ニセモノはニセモノなのよ。ありがとう、ドフラミンゴ』
Aの様子がおかしい。
まるで、捨てられるような顔で、俺を見上げる。
おかしい、だって捨てられるのは俺の方じゃ。
「A、お前が俺を」
『何?ワタシとは終わったんでしょ。帰ってちょうだい』
「…A、話を」
『いい加減にしてちょうだい。しつこいとワタシ、イライラしちゃう…終わったんだから、あの子のところにお行きなさいよ』
何故そうも割り切れるのだろうか。
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おトク(プロフ) - 攻め主最高今日も快眠 (2019年7月30日 20時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
クロノル(プロフ) - 続編おめでとうございます。楽しみにしていました。これからも楽しみにしています！これからも頑張ってください (2016年8月25日 13時) (レス) id: 8eb9e07c57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2016年8月23日 14時
