ただの人間 ページ46
ユニコーン主+不死鳥
『……近くに、寄らないでくれないか』
「メシの時間だよぃ」
『ボクには水さえあれば十分だと、そう言った筈だが』
「この船に乗ってるんだ。おめェも家族だよぃ。その家族の偏食は見過ごせねェよぃ」
船尾の船縁。まだ幼さの残る青年と、それなりに生きたであろう男が対峙していた。
実際には、単に食事を渡そうとするのと、受け取るまいとしているだけなのだが。
『放っておいてくれ。ボクは、利用される為にここに居るんだ』
「そんなことねェよぃ。オヤジだって、お前を家族として受け入れてるよぃ」
『知らないよ。そうやって甘言を垂れて寄ってきた奴等はみんな、ボクの血が欲しかっただけなんだもの。家族ごっこは他所でやって』
「A……」
Aと呼ばれた青年はぷい、とそっぽを向き、男の話に取り合わなかった。
『マルコ隊長もお忙しいでしょ?ボクに構わず、お仕事に行きなよ』
「……は……」
『…?』
「俺は、お前と仲良くなりたいだけなんだよぃ!!」
『……マルコ隊長に、何のメリットがあるの?………サッチ隊長のことは、残念だとは思うけど、ボクには何もできないし、マルコ隊長は再生できるしね、ボクの出番なんて微塵もないんだよ。それでも、なんでボクと仲良くしたいの?』
捲し立てるようなAの物言いに、マルコは呆気にとられるも、すぐに笑い出す。
『何が、そんなにおかしいの?ボクが滑稽?』
「そんなことねェよぃ。ただ、お前もそんなに喋るんだと…」
『ボクだって、人間だからね』
「………誰も、お前に死者を甦らせたり、不治の病を治させたりしたいとは思ってねェよぃ。お前を家族にしてェから、ここに連れて来た。それだけだよぃ」
『…なんだよ、それ……ボクになんの期待もしてないってこと?』
「お前の血に、興味のある奴はいねェよぃ」
『…そんなんじゃ、ボクただの人間じゃん』
「それがお望みだろぃ?」
『……マルコ隊長には、敵わないよ。わかった。ボクを新しい家族として、迎えてくれる?』
「とっくに、その準備はできてるよぃ」
Aは俯いていた顔を上げ、マルコに連れらて、船首の方へ向かう。既に宴の準備は整えられ、船員が出揃っていた。
『これからよろしくね、みなさん!!』
明るい声と表情で、新しい家族へとAは挨拶した。
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おトク(プロフ) - 攻め主最高今日も快眠 (2019年7月30日 20時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
クロノル(プロフ) - 続編おめでとうございます。楽しみにしていました。これからも楽しみにしています！これからも頑張ってください (2016年8月25日 13時) (レス) id: 8eb9e07c57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2016年8月23日 14時
