ボクは人形 ページ45
人形主×冥王
「…オークション?」
「そうだ。そこはなんでも天竜人も買い物をするらしい。見た目さえ良ければ、売れるぞ」
「そうか…そろそろこいつにも飽きてきたし、売るか。何も変わらねェからな、こいつ」
変わらない?当たり前でしょ。ボクは人形だよ?成長もしないし、それなりの扱いをされれば綺麗なまま。
「商品が逃げ出したぞーっ!!」
「ちっ、海賊と海軍がおっ始めやがった!!ずらかるぞ!」
あ、待ってよ。ボク、まだ買い手がいないよ。置いていかないで。捨てないで。
「……人形?」
『そうだよ。ボクはお人形さん。A、なんて呼ばれてる』
「喋るなら、人ではないのか?」
『違うよ。れっきとした人形。ネジを回せば動けるの』
買い手のつかないまま、ボクはオークションの倉庫に放置された。そこへ年老いた男が現れた。通りがかったから声を掛けた、ただそれだけのようだった。
『ねぇ』
「…わたしはレイリーという」
『レイリー、さん』
「なんだね?」
『ボク、日に一回ネジを巻けばあとはずっと動けるから、ボクのこと買ってくれない?』
「………は」
レイリーさんはなんだかいい人のような気がしたから、この人に買われようと思った。
少しは大切にしてくれそう。
「……生憎、持ち合わせはないし、君の持ち主は居ない。わたしが買うことはできないな」
『そう…じゃ、ボクはここに居るから、また遊びにでも来てよ』
「買うことはできない……が、君をわたしの家へと招くことはできる」
『招く…?』
不思議なことを言う。お人形を招くだなんて、女の子のお遊びみたい。
「ははは。お遊びなんかではないさ。君を、わたしの所で働かせようかと思ってね」
『…動けるだけで、別にそんなに力はないよ』
「力なんて関係ないさ。ただ、君がわたしの手伝いをしてくれたら、それでいい」
変わった人。でも、ボクのことは大切にするつもりらしい。それなら、いっか。
『よろしくね、レイリーさん』
……彼は気付いていないらしい。まだわたしが海の上に居た頃。このシャボンディ諸島より遥か遠くでわたしは、君と出会ったということを。
その時、わたしは強く思った。君が欲しい、と。だが君は、すぐに持ち主と共に姿を消してしまった。
それが、まさかこんな形で手に入るとは!!
わたしなら、君を手放したりはしない。ずっと手元に置いて、大切にしよう。
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おトク(プロフ) - 攻め主最高今日も快眠 (2019年7月30日 20時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
クロノル(プロフ) - 続編おめでとうございます。楽しみにしていました。これからも楽しみにしています！これからも頑張ってください (2016年8月25日 13時) (レス) id: 8eb9e07c57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2016年8月23日 14時
