接吻 ロー ページ36
吾輩はまだへその緒も切り取らぬ内に棄てられ、やがてドンキホーテファミリーにて拾われた。
なんとか命拾いし、以来吾輩はドフィに従っておる。吾輩は、口調こそ尊大と言われるが、心ではきちんと敬っておるぞ?
そうして幾年も時は流れ、吾輩もそれなりに年を取った。吾輩の後に入った幼い子も、十分に一人立ちできる齢に達した。
名をローと言ったか。
今では空席となっているコラソンの座。そこに座っていた男に、ローはかなり懐いていた。
最初の方こそ殺伐とした雰囲気ではあったものの、いつの間にやら仲良くなっていた。
それは、まるで本当の親子のようであった。
吾輩に親はない故、親子とは如何なるものかは詳しくは知らん。だが、他人から伝え聞くには、温かく、なくてはならないものだという。
だからであろうか。二代目が亡くなられてからは、ローの様子は変わった。
実際には、そこまで変わっていないかもしれないが、吾輩にはわかる。いつも警戒するように辺りを見回し、少しでも有利になれる素材を探しているのだ。
まだドフィですら気付いていないだろう。何故なら、この吾輩が庇っているのだからな。
『ロー。今日も随分隈が酷い。眠れないのか』
「………そんなことはない。俺のことは放って置け」
『そうかい………あぁ、そうだ。手を貸してくれ』
「……?」
不審がる彼の手を取り、手首の内側に接吻する。
「!!な、にを…!?」
『どういった意味を持つのか、ドフィにでも聞いてみるといいよ』
彼が進んでドフィと話さないことを知っている吾輩は、あえて意地悪なことを言ってみた。
プライドの高い彼のことだ。ここで素直に意味を伝えてしまえば、きっと憤慨してしまうだろう。
強がらなくていいのに
ロー。君には、この吾輩が居るんだよ。さぁ、吾輩を存分に頼りにしてくれ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おトク(プロフ) - 攻め主最高今日も快眠 (2019年7月30日 20時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
クロノル(プロフ) - 続編おめでとうございます。楽しみにしていました。これからも楽しみにしています！これからも頑張ってください (2016年8月25日 13時) (レス) id: 8eb9e07c57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：佐渡の音 | 作成日時：2016年8月23日 14時
