宣戦布告 ページ17
女装主→→←サンジ
『あら、サンジちゃん』
「…」
『今日は暑いわね』
白い清楚なワンピースを着て、それに似合う帽子を被った少し背の高い女………の姿をしているものの、正真正銘男であるAは、暑い中見張りをつとめるサンジに声を掛けた。
『ご苦労様。はい、差し入れ』
「………ありがとよ…頼むから、その格好で来ないでくれ」
『あら、何故?』
「………女だと、錯覚するからだ」
苦々しげに呟き、視界に入れまいとサンジはそっぽを向いた。
『あら…ダメだったかしら。お気に入りなのだけれど』
「服は問題ねぇ。問題なのは、てめェがそれを着てるってことだよ!!」
マストの上にある見張り台では、どうしても距離が近くなる。サンジは少しでも下がろうと、Aの反対側に立つ。
『そう……サンジちゃん、危ないわよ、そんなにはじっこに寄ったら』
「誰のせいだと…!!」
『私?まぁ、ごめんなさい…はい、空いたわよ』
Aは驚く素振りを見せると、いそいそとヤードの上に座る。
「…?」
『見張り台、空いたわよって…言ったのだけれど』
「は、それじゃてめェが危ねぇだろ」
『私なら大丈夫よ。見張りはサンジちゃんの仕事でしょう?存分に使って』
風が強い為、Aは帽子を押さえている。そのせいで、ヤードを片手でしか掴めていなかった。
心内ではサンジがひやひやしているなど、知らないのであろう。Aはぼーっと、水平線を眺めている。
『…あっつ』
「……降りたらどうだ」
『あら、それじゃサンジちゃんから離れることになるわ。私、そんなの嫌』
「…女じゃあるまいに」
『見た目は女よ』
クスクスと笑う姿は、完璧に女のそれだ。
だが、サンジは知っている。戦闘に入れば、誰よりも先に攻撃を仕掛けるし、昂った感情をそのままに喋れば、男前であるということを。
『サンジちゃん。私、あなたが好きなの』
「へいへい、そうかよ…って、はぁ!?」
『好き、大好き』
「野郎に言われたって、嬉しかねぇよ……」
『そう……残念』
肩を竦め、Aはぱっとヤードから手を離す。慌てるサンジなど目もくれず、てくてくと甲板の方へ歩いていった。
急に振り返ったかと思うと、大声で言う。
『サンジちゃん!!いつか私が落としてあげるからね!!!!』
「なっ、はぁ!?」
赤く頬を染めるサンジにウィンクを送り、Aは船内へと消えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おトク(プロフ) - 攻め主最高今日も快眠 (2019年7月30日 20時) (
レス) id: 8135fdc69e (このIDを非表示/違反報告)
クロノル(プロフ) - 続編おめでとうございます。楽しみにしていました。これからも楽しみにしています！これからも頑張ってください (2016年8月25日 13時) (レス) id: 8eb9e07c57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：佐渡の音 | 作成日時：2016年8月23日 14時
