XI-12 ページ12
・
こちらの病室です、と案内されたのは日当たりの良い個室部屋だった
中「Aっ！！」
焦る気持ちを盛大に抱えて開いてドアの向こうには
目を閉じたままのAがいた
「未だ意識は戻っていません。」
生きていたことへの安心感と同時に、
ひどく絶望感が襲う
東「意識が、ない？」
生きていると聞いて、当然目を覚ましていると思い込んで
心のどこかで安心しきっていた。
実際に確認するまでは、と緩めていなかったはずの紐が
無意識のうちに緩んでいた
神「彼女の今の容体は？」
「現在は安定していますが、予断を許さない状況です。」
久「そんな、」
皆が落ち込みを見せる中、一人だけ違う反応をみせた
中「よかった、」
思わず漏れたかのような声のトーンで、
安心しきったかのような様子の中堂
中「生きてて、よかった」
Aの手をぎゅっと握りしめ、震える声でそう呟いた
「ここへ運ばれてきた時、彼女の意識はなく瀕死状態でした。」
落ち着く暇もなく、医師が話を始めた
「我々が処置に当たり、ルートを取ろうとした時に気づいたんです。」
久「え？」
「手が固く閉じられていて、何かを握ったまま強く離さなかったんです。」
三「何を握ってたんですか…？」
「どうにか手を解いたら、その中には
慌てて書き残したのであろう小さな紙が握られていました。」
それがこちらです、とシワシワな小さな紙が渡された
・
UDIラボのみんなへ
何も言わずにごめんね
大好きだよ
お元気で
・
揺れる機内で書いたからか、ガタガタの字のそれは
ひどく私たちを苦しめた
三「Aは、これを、どんな思いでっ…、」
後悔しかなかった
溢れ出すのは、ただただ、後悔しかなかった
最後までAはAのままだった
・
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灰かぶり(プロフ) - すごく好きな作品で、一気読みしました。続きが気になります。更新、楽しみにしております。体調にもお気をつけください。 (9月12日 23時) (
レス) @page30 id: 54c03ac678 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (8月23日 18時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 久々に思い出し読みましたが、更新は途絶えたままのようで停止中？完結に至っておらず読めず残念です。 (7月15日 22時) (レス) id: 0a9854232a (このIDを非表示/違反報告)
cherry(プロフ) - もう一つの事件どう言った終わりを迎えるのか楽しみです！無理のない程度に更新楽しみにしております。 (2023年3月30日 22時) (レス) @page30 id: 7dcc1603c8 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます！最近は仕事を頑張るモチベーションにさせてもらってます。更新を楽しみにして待ってます。 (2022年8月17日 19時) (レス) @page30 id: aa4d38c827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナホ | 作成日時：2018年4月20日 0時
