��-23 ページ23
・
『高瀬…』
中「高瀬？」
ガンッと大きな音を立てて電話をきった系さんは、途端に走り出した
行き先を聞くなんて野暮なことはしない
私も追って目的地へ向かった
『…っ……はぁっ、』
年は離れていてもやっぱり系さんは男の人で
距離は開くばかり
息苦しかった
喉の奥で血の味がした
ヒールを履く足の感覚なんてもうとっくに無かった
それでも走り続けた
無我夢中で走った、走った、走った
曲がり角でとうとう系さんの背中が見えなくなってしまった。
私も急いで追いつこう、と角を曲がる
その時、誰かと肩がぶつかった
『すいませんっ』
宍「ってぇな」
『急いでるので、失礼します』
止まらずに行ってしまった系さんの後を追おうと足を踏み出すと
『えっ、』
掴まれる腕
振り返ると冷たい目をした男がいた
宍「アンタさぁ、目の前で母親殺されてさ、
生きてるの辛くないの？」
『っ…、』
さっき電話口から聞こえてきた声と同じ
きっとこの人が宍戸だろう
なんでこの人が知っているのか
頭が一気に真っ白になる
宍「どうやって息してるの？」
少しニタニタした厭らしい顔でそう尋ねる男
『辛くないわけないでしょう。
辛いにきまってるじゃないですか。
それでも生きなきゃって、必死こいて息してるんでしょ？
止まったままじゃダメだって、
必死こいて進もうとしてるんでしょ？』
大きな声が出る
目の前には目を丸くした男の顔
少しして、気を取り戻したかのように鼻で笑ってみせた
宍「はっ、そりゃ傑作だな」
『勝手に何とでも言えばいい。
だから、邪魔しないで』
バッと思い切り腕を振り払って、
私は前だけを向いて再び走り出した
系さんの後を追った
夕「次の話はね、ピンクのカバ」
『ピンクのカバ？』
夕「そう、ピンクのカバ。
できたらAに1番に見せるね！」
苦しくて、気を抜いたら倒れてしまいそうなのに
頭に浮かぶのは姉さんの声
最後の電話で話した言葉
助けられなかった事実
涙が浮かんでくる
それをグッと堪えて走り続けたら
目の前に高瀬不動産の看板を見つけた
『…っ、あった！』
もうすでに系さんによって開けられた玄関を
私もくぐって中へ入った
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナホ(プロフ) - かなさん» いえいえ！早く読みたい、と少しでも思ってくださってとても嬉しいです(o^^o) (2018年4月23日 8時) (
レス) id: 8274152b2e (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 急かして申し訳ないです。更新頑張ってください！！ (2018年4月23日 1時) (レス) id: ca350d7b84 (このIDを非表示/違反報告)
ナホ(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！拘って書いているところを褒めていただけて、とても嬉しいです(o^^o) 6ですが、只今準備中です。もう少しお待ちくださいませm(_ _)m (2018年4月23日 0時) (レス) id: 8274152b2e (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 中堂さんと有希子さんと夢主の関係がとても良い、面白い作品だと思います！6のパスワード教えて頂きたいです！！ (2018年4月23日 0時) (レス) id: ca350d7b84 (このIDを非表示/違反報告)
ナホ(プロフ) - 沙耶さん» ご意見ありがとうございます。とても嬉しいです！更新頑張りますね(^^) (2018年4月19日 23時) (レス) id: 8274152b2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナホ | 作成日時：2018年3月29日 12時
