9.他の誰かより悲しい恋 ページ33
『……臣さん』
握られた手を私もギュッと握る。
『私、臣さんにずっと嘘ついてました』
｢……嘘？｣
『……私、5年片想いしてたんです』
目を閉じて、息を吸う。
逃げない。
臣さんがちゃんと、伝えてくれたから。
目を開けて臣さんがしてくれたように真っ直ぐ見つめる。
『臣さんに、ずっと片想いしてました』
彼の瞳が大きく開かれる。
『会議室でコンビニ飯を食べるずっと前から。
私は、臣さんだけを見ていました』
｢……直人さんじゃなくて？｣
『直人さんを好きだったことは1度ありません。
……嘘、ついててごめんなさい』
｢……｣
ショック、かな……。
『でも、好きな人に、
好きな人がいる気持ちはとても痛いほどわかったので…。
報われない恋の辛さを知っていたので……。
咄嗟に直人さんが好きだと言ってしまいました』
｢……｣
何を思っているんだろう。
黙って、私を見ている。
『騙していたので、軽蔑してくれて構いません。
さっき、臣さんがくれた言葉をなかったことにしてくれても構いません』
ううん。
そんなの嘘。
なかったことにしないで欲しい。
｢正直、ビックリしている…。
いつも、直人さんを想って泣いていると思ってたから｣
……そうですよね
私は何も言えない。
｢ごめん｣
『……』
あぁ、やっぱり。
ダメだったか。
じんわりと涙が溜まっていくのがわかる。
今度こそ、本当に失恋だ。
｢えっ、ちょ、なんで！？｣
涙に気づいた臣さんが慌てて私の目に親指を当てる。
『ぇ……』
｢え、はこっちのセリフだから！｣
『……今、ごめんって』
｢違うから。気づけなくて、ごめんって言いたかったの｣
『……』
｢俺もAを好きな事隠して、直人さんの彼女を好きなフリしてた。
だから、お互い様だろ｣
私の涙を拭うと、ふわっと抱きしめられた。
後頭部と背中に優しく手を添え、
まるで、大切なものを包むような……
｢俺はAと一緒にいたい。Aは違うの？｣
『……』
優しい優しい声が、私に向けられている。
他の人へでもなく、私のためだけに向けられている。
『っ……』
彼の背中に腕を回して、服を握る。
『一緒にいたいっ…』
｢ん。じゃあ、あとのことはどうでもいいじゃん｣
今日、私たちは
初めて両想いのキスをした。
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omigirl(プロフ) - りこさん» 最後までご覧頂きありがとうございました！光栄なお言葉にも感謝です☺️ (10月19日 21時) (
レス) id: 22df992226 (このIDを非表示/違反報告)
omigirl(プロフ) - maiki042625さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。思うことはみんな同じですね...😭 (10月19日 21時) (レス) id: 22df992226 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！陰ながら楽しませてもらってました！お話とても面白かったです！！ (10月18日 21時) (レス) @page42 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
maiki042625(プロフ) - 素敵な小説ありがとうございます。私も本を読んでずっとファンでいて良かった。と再確認しました(^^) (10月18日 21時) (レス) @page42 id: 624b9b8d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：omigirl | 作成日時：2023年10月9日 20時
