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重い足を一生懸命上げて
立ち止まりそうな足を何度も進めて
やっと着いた自宅。
大きく深呼吸をして、笑顔で、いい女で終わると心の中で唱えた。
ドアを開けると醤油のいい匂いがキッチンから香って
驚きながら、急いで靴を脱ぎ、キッチンに向かう。
｢おー、おかえり｣
『…た、だいま…。え、作ってくれたんですか』
｢そう！たまにはね？｣
フライパンの中を除くと、魚の煮付けが美味しそうに
タレに包まれてキラキラ光っている。
『美味しそう…』
｢ぜってぇうめぇよ？ほら、手洗ってこい｣
『はい』
最後の晩餐。
ということなんだろうか。
あぁ、胸が苦しい…。
リビングに戻ると、テーブルの上に
小鉢に入ったおかずと、さっきの煮付け、お味噌汁にご飯。
『…久々の登坂亭』
私がボソッと嘆くと、ふはっと上を向いて笑った。
｢俺スパダリだろ｣
え？と聞き返したくなるフレーズ。
『……若者言葉』
知ってるんだ…。
｢そこはスパダリって言えよ！｣
『…スパダリです(笑)』
今、私ちゃんと笑えてる？
ちょっと悲しくて、ちょっと辛い恋だったけど
一緒に過ごして、こうやって笑いあった時間は
本当に、本当に…、楽しかったなぁ＿＿
臣さん特性の定食料理を食べ始めても
いつ、話を切り出されるかずっとビクビクしている。
今日、別れを言われることを知っててよかった。
ちゃんと心の準備をして、聞くことができる。
泣き出したりしたら、臣さん困るから。
でも、少しでも
一緒に過ごした時間は意味のあるものだと
寂しがってくれたら嬉しいなぁ、なんて……。
『臣さんはほんと、料理上手ですね』
この味も、今日納めか。
滅多に食べれない、登坂亭。
これも、本当に好きだった。
｢お前のが美味いけどね？煮物とか特に｣
『…おばあちゃん料理ってバカにしてます？』
｢なんでだよ！(笑)今美味いって褒めてたじゃん｣
『ふふっ』
あぁ、悲しいなぁ。
綺麗に完食して、食器を洗い、食後のお決まりとなった
臣さんがくれたクレルナのマグカップに
安らぐと言ったハーブティーをいれて
ソファー前のローテーブルに置いた。
ソファーの上で胡座をかいている臣さんは
それを嬉しそうに受け取って、1口飲む。
温かい飲み物のほうが、きっと臣さんも切り出しやすい。
隣に座って、私は体育座りでマグカップに口をつけた。
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omigirl(プロフ) - りこさん» 最後までご覧頂きありがとうございました！光栄なお言葉にも感謝です☺️ (10月19日 21時) (
レス) id: 22df992226 (このIDを非表示/違反報告)
omigirl(プロフ) - maiki042625さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。思うことはみんな同じですね...😭 (10月19日 21時) (レス) id: 22df992226 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！陰ながら楽しませてもらってました！お話とても面白かったです！！ (10月18日 21時) (レス) @page42 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
maiki042625(プロフ) - 素敵な小説ありがとうございます。私も本を読んでずっとファンでいて良かった。と再確認しました(^^) (10月18日 21時) (レス) @page42 id: 624b9b8d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：omigirl | 作成日時：2023年10月9日 20時
