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臣さんの家に呼ばれたある日。
いつものように抱かれて
彼の腕の中で、彼の鼓動を聞いていた。
「A」
『はい』
前置きもなく
「ドームツアー終わって、年明けて、落ち着いたら…
直人さんと彼女、結婚すんだって」
と言った。
この瞬間、砂の城が崩れたような気がした。
『……そうなんですか』
怖くて顔が見れない。
今、どんな顔してるの？
声が、今までに聞いたことないくらい悲しい声をしてる。
好きな人が結婚する。
臣さん、どんな気持ちなの…。
「…大丈夫？」
『…私は、っ…大丈夫、です。…臣さんこそ』
「大丈夫じゃ、ないでしょ」
ぐっと体を持ち上げられて
ベッドの上で、臣さんの胡座の上に座らされる形になった。
「そんなに泣いて、大丈夫なわけねぇじゃん」
ポロポロ溢れる涙を一生懸命拭ってくれる。
「Aが泣くのは、直人さんを想ったときだけだね」
違う。
貴方を想ったときだけ。
『…臣さんだって、泣いてる…』
「泣いてないよ」
彼の頬に手を添えると暖かかった。
確かに、臣さんは涙を流してないけど
『心が、泣いてる…』
「……」
『…臣さんは…苦しくない、ですか…？』
お互い頬に手を当てながら見つめ合う。
そんな悲しげに、私を見ないで。
私の先にある彼女をそんな刹那げに見ないで。
そんな言葉は言えるわけなくて。
「…うん、苦しい」
そう言う彼の、泣きそうで、苦しそうな表情が
私は不覚にも綺麗だと思ってしまった。
わかりきった答えなのに、どうして…
傷つくとわかっている事聞いてしまったんだろう。
『……臣さんに想われる彼女さんは幸せですね』
「…なら、Aほど、愛してくれる人がいるって
直人さんは幸せだね」
『っ…』
嘘つき。
私は嘘つきだ。
『臣さんっ…』
「ん」
『もう一度、めちゃくちゃに抱いて欲しい…』
「……」
『痛くても、いいから。…何も考えられないくらい』
貴方を想いながら、直人さんを好きな振りをしている。
こうして逃げることしか私は道を知らない。
「A…」
彼の手が私の後頭部に回って
息ができないくらいのキスを受けた。
抱かれながら思う。
私は臣さんが、心から愛せる人が見つけるまで傍にいます。
身代わりでも、寂しさを埋めるためだけでも
性の処理でも、どんな理由でも。
貴方が私を必要としてくれる限り。
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omigirl(プロフ) - りこさん» 最後までご覧頂きありがとうございました！光栄なお言葉にも感謝です☺️ (10月19日 21時) (
レス) id: 22df992226 (このIDを非表示/違反報告)
omigirl(プロフ) - maiki042625さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。思うことはみんな同じですね...😭 (10月19日 21時) (レス) id: 22df992226 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！陰ながら楽しませてもらってました！お話とても面白かったです！！ (10月18日 21時) (レス) @page42 id: c4c1d5cc21 (このIDを非表示/違反報告)
maiki042625(プロフ) - 素敵な小説ありがとうございます。私も本を読んでずっとファンでいて良かった。と再確認しました(^^) (10月18日 21時) (レス) @page42 id: 624b9b8d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：omigirl | 作成日時：2023年10月9日 20時
