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『沖田さん』
『……沖田さん？』
『沖田さーん！』
何度読んでも、返事を返してくれない。私の方を見ているその顔はどこか不機嫌で、唇なんか山形になっている。
どうしたのかと思い小首を傾げれば、小さな声で「それ」と言われた。
『いつまでも苗字で呼んでんじゃねェ』
「ヨツヤ」とこれまた少々懐かしいあだ名で呼ばれる。好きな人には名前で読んで欲しいと思っている私だが、彼も同じ気持ちなのだろうか
そう考えると嬉しくなってしまう。……しかし、いざ呼ぶとなると、恥ずかしさがこみ上げてきた。
『そ、そそそそ……』
『そんなにそは付いてねェよ』
「バカ」と手の甲で軽く額を小突かれ、早くしろという無言の圧力をかけられる。
ゆっくりと深呼吸した私は、「総悟さん」と自分でも驚くくらいの蚊の鳴くような声で呟いた。
『声が小せェ』
これで勘弁を、と言おうとしたが、彼は「まあいいか」と納得してくれる。
そのまま口角をニタリと上げて、私の腕を引いた。
そして私の耳元に唇を寄せて、「A」と熱っぽい吐息のような声で名前を囁く。思わずそこを手で塞げば、彼は意地の悪そうな顔をして私から離れた。
どうしようもないくらい、愛しいという感情が溢れ出して、胸は締め付けられる。でもそれは痛いわけではなく、幸せな苦しみだ。
彼に呼んでもらえる自分の名前が、私は大好きになった。
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美空 - 完結おめでとうございます！とても素敵な作品でした！これからも楽しみにしてます！ (2017年8月29日 2時) (
レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか！！ ありがとうございます！ とっても嬉しいです！ あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです！ 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます！ 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀｀) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします！！ (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です！ (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです！夢中で読みました！新作も読ませていただきます！！！ (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時：2017年7月25日 11時
