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エレベーターで登る間、考えていた。俺の風邪が移ってしまったこととか、傷つけてしまったことも。
会わせる顔なんて無いはずなのだが、彼女が風邪で苦しんでいるのなら、今度は俺が助けるべきだ。
ゆっくりと鍵を回し、音を立てずに中へ入る。もしかしたら寝ているのかもしれない。
リビングには案の定居なく、彼女の寝室の扉を薄く開いて中を覗けば、そこにはベッドで眠っているAがいた。
気配を殺して近づくも、顔が赤い。額に汗が滲んでおり、前髪が濡れていた。思わず頬に指先を添えると、小さな唸り声を出す。
慌てて手を離すが、ビニール袋には熱さまシートが入っていたため、俺はそれを起こさないように慎重に付ける。
かかっている毛布も肩まで掛け直し、彼女の傍に座り込んだ。
苦しそうに呼吸をして、目尻からは薄っすらと涙を零す。それを拭ってやり、俺は優しく髪を梳いた。
Aの部屋の机には、俺と撮った写真がいくつか置かれていて、去年のクリスマスにあげたネックレスは、綺麗にスタンドに飾られている。
コップがある位置も、お気に入りのCDの場所も、買い置きしているティッシュが何処にしまわれているかも、俺は知っていた。
彼女も同じだろう。それに俺の家にある調理器具やコーヒー豆は、Aしか使わない。
こんなにお互いのことを知っているのに、分かり合っているのに……どうして、すれ違ってしまうのか。
……あァ、そう言えば聞いたことがある。三がつく時期には、何かが起こると。
確かに俺たちは付き合って三年目だ。だから何かしら、お互いの何処かが変わってきているのかもしれない。
それでも俺の中で全く変わらないのは、ただAが好きだという気持ちだ。
『……そうご、さん?』
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時