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不意に手を伸ばしたAは、俺の首筋を触る。その手は冷たく、とても気持ちが良かった。
「熱いですね」と苦笑いを見せ、彼女は俺に熱さまシートを渡す。
前髪を持ち上げてそれを貼ろうとするも、上手く貼れず、見兼ねたAが手伝ってくれる。しかし彼女との距離が思ったよりも近く、思わず触れたくなってしまう衝動をぐっと堪えた。
『食べたら、薬飲んでください』
そう言って、リンゴの横に水の入ったペットボトルと薬を置く。冷蔵庫にはゼリーやプリン、スポーツ飲料水があると伝えられ、俺はそれに頷いた。
礼を言わなくては、と口を開くが、彼女が床に置いたままのクッションの下から何かを見つける。
それは俺が買ったピアスの片方であり、昨日のあの時の物音はこれだったのか、と合点がついた。
「それは、」と口を開こうとするも、Aが俺を見てきたことにより結んでしまう。彼女は悲しそうな顔をして、そのピアスを棚の上に乗せた。
『……ちゃんと返さないとダメですよ』
何か勘違いしているAは、そう言って立ち上がる。自分の鞄を掴み「お大事に」と手短に呟いた。
「待ってくれ」と言いたくても声は思うように出ず、俺は彼女の手首を掴む。
それにより振り向いたAは、目に涙をいっぱいに貯めて、咽ぶように言葉を発した。
『私って、総悟さんの何なのですか?』
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時