20センチ ページ4
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僕の恋人は。
S「お前、そこは仮定法だから動詞ちげーだろ」
M「翔君よく授業一回聞いただけでわかるね」
S「あっちもプロだからな」
頭が良くて。
M「やっと昼休みだぁ〜」
S「早く屋上行こうぜ!ここ息が詰まる」
M「はいはいちゃんと掴まっててね」
求めているのは開放感な人で。
S「お♪そっちの玉子サンドも一口ちょーだい」
M「いまちっちゃくするね」
S「小さ過ぎねぇ?」
M「えーっ本当食いしん坊(笑)」
お口は小さくても
食欲は一人前な
M「そろそろ戻らないと。ポッケ入って」
20センチの小人だ。
S「次は体育だっけ。」
M「ぁ〜どうする?朝礼台のとこで見てる?」
S「ん〜やれないもん見ててもしょーがねえし……図書室寄って。6限終わったら迎え来て。」
M「了解。気をつけてね。」
英語や数学の授業は一緒に受けられても
さすがに体育で一緒にサッカーは出来ない。
ほんの少し間が開いた言葉に
負けず嫌いの彼の切なさがのぞく。
S「なんだよ。」
M「ううんなんでも。」
S「本棚の一番上に乗せて。」
翔君は下りるのは出来るけど
登るのが苦手らしくて
図書室では上から下へとお散歩を楽しむらしい。
前に理科室に行ったこともあったけど
どうやら標本がダメだったらしくて
体育とかどうしても一緒にいられない時は
図書室か音楽室で待つ事が多い。
翔君はスッゴくダンスが上手くて
ピアノの上で軽快にステップを踏んで
ショパンとか弾いちゃうんだ。
まあそれがいつの間にか
学校の七不思議になってて二人で笑った。
…
M「翔君お待たせ〜」
S「おっせーよ」
M「ホームルーム長引いちゃって」
ダッシュで駆けつけた放課後の図書室。
翔君は何故か窓辺で足をプラプラさせてた。
M「珍しい。お昼寝?」
S「まさか。誰かに見つかったらどーすんだよ」
M「そっか…」
時々僕たちの間には
身長差の壁が切なさを運んできてしまう。
S「花見。」
M「え?」
S「ほらこっから桜見えんだよ。」
M「本当だ。春だねぇ」
S「まださみぃけどな。おい早くポケット入れろ」
赤ちゃんみたいに両手を伸ばす翔君が可愛くて
そっと手のひらにのせてキスをする。
S「…学校だぞ//」
M「そういうの逆に燃えない?」
S「ヘンタイ。早く帰んぞ。」
時々訪れる20センチの壁を
なんとか軽口でやり過ごして
これからも僕と翔君の日々は続く。
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作者名:ゆみ
作成日時:2019年3月15日 5時