Story28 ページ30
でも、なぜだろう少しも怖いと思わない。むしろ落ち着く声音に聞こえた。
「俺が思うに、海賊に向いてるか向いてないかは気持ち次第だよい。
お前が自分は海賊に向いてない、やめてしまいたい、そう思うならこの船を降りたほうがいいだろい。
でも、自分は海賊でいたい。海を楽しみたい。そう思うならお前は大海賊って言われる奴らと同じくらい海賊に向いてるよい。」
慰めてる、というわけではない言葉が逆に心に染みた。突き放すでもなく、ひたすらに優しくするでもない言葉を紡ぐマルコさん。彼はどうしようもなくかっこ良く見えた。
そんな彼の言葉を自分の中で何度も反芻して考える。
海賊で、いたいかどうか。
あの日のミツルとの誓いを思い出す。
「マルコさん。僕海賊でいたいです。」
そして、その言葉は少しの迷いもなく口から滑り出た。さっきまであんなにネガティブだったのが嘘みたいだ。そんな僕の言葉に
「そりゃ、お前大海賊の素質があるかもな」
なんてマルコさんが言うもんだからなんだかおかしくて、2人で笑った。
「すっきりしたならこんなとこで油売ってねぇで食堂行けよい。ちょうど昼飯時だい。」
「マルコさんは行かないんですか？」
「ああ、ミツルの様子でも見てから行くよい。」
その言葉を聞いて納得した。なぜこんなところにマルコさんがいるのだろう、と疑問に思っていたのだ。
おそらくAさんと戦って怪我などはしていないか、僕らの様子を見るためにマルコさんは昨日のお酒がまだ抜けぬ体で船内を歩き回ってきたのだろう。
横に立つマルコさんを見て思う。
僕は、きっとこんな海賊になりたいんだ。
優しく、
強く、
頼れる海賊に。
「ああ、ミツルなら今朝の戦いでだいぶ疲れたみたいで今寝てます。怪我とかはないみたいですよ。」
「ああ、そうかい。」
その言葉の後には実際なんの言葉も続かなかったけど、それはよかったとマルコさんが心の中で付け加えているのがわかった。
ああ、なんて優しい人なんだろう。
なんて暖かい人なんだろう。
さっきまで想像がつかなかった、Aさんがマルコさんについてまわっている映像が今では簡単に想像できる。
「夕方には島につくよい。買うものとかを大体ピックアップした方がいいと思うよい」
そう言いながら食堂の方へと去っていくマルコさん。
目標の海賊の背中はとても大きく、たくましく見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽羽(プロフ) - 蛙鰐泥鰌さん» ありがとうございます！そう言っていただけると、お話を書く気力が湧いてきます。第二シリーズでもぜひよろしくおねがいいたします！ (2015年1月24日 14時) (
レス) id: cbd79c01cc (このIDを非表示/違反報告)
蛙鰐泥鰌 - 面白かったです。頑張って下さい！！ (2015年1月24日 12時) (レス) id: 0ccd474843 (このIDを非表示/違反報告)
陽羽(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます！私も実ははやくヒロインちゃんとマルコさんをイチャイチャさせたくてうずうずしてますwwこれからもお付き合い、よろしくおねがいします！ (2015年1月20日 17時) (レス) id: cbd79c01cc (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - いつも他キュンキュン読ませてもらってます。はやく、ヒロインちゃんとマルコの絡みが見たいです（笑）楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2015年1月19日 22時) (レス) id: 68f56890de (このIDを非表示/違反報告)
陽羽(プロフ) - けいおんさん» ありがとうございます！白ひげ海賊団、いいですよねー！リクエストありがとうございました。赤髪海賊団の登場は決定しているのでぜひそれまでお付き合いください！ルフィたちやミホークについては検討させていただきます！ (2015年1月6日 21時) (レス) id: cbd79c01cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：陽羽 | 作成日時：2015年1月5日 23時
