競り合う二人 ページ5
…来ねェ。もう２０分は経ったか。握り飯を噛み締めながら、オレは、空き教室の寂れた時計を何度も見上げていた。
ﾛｰ「…今頃何してんだ？」
別に約束をしてるわけでもないが、あいつが来ないわけがねェ。…いつまで待たせるつもりだ？
そして手元には、自分用ではない、初心者向けの医学書__
___『ロー先輩は将来はお医者さんに？』
ﾛｰ「…ああ」
『私も…医学を学んで看護師になれば…先輩の側に居られるでしょうか…』 ____
まあ、そんな理由で簡単になれるようなモンじゃねェが、手始めに読んでみるかと勧めた。そん時のあいつの顔ときたら…傑作だな。分かりやすく目を輝かせやがって。素直な奴。
…にしても、遅ェな。何かあったのか？
思案を巡らしていると、教室のドアが開く音がして、オレはすぐさま振り返った。
ｷｯﾄﾞ「…んだよ、あからさまにガッカリした顔しやがって…Aは来てねェのか」
ﾛｰ「何の用だ？」
ｷｯﾄﾞ「Aに用があんだよ、居ねェなら帰る」
咄嗟に、待て、と呼び止めた。…聞きてェ事を聞き出すには絶好のチャンスだからな。
ﾛｰ「…いつからAと馴れ合うようになった？」
ｷｯﾄﾞ「馴れ合い？あいつが勝手に懐いてるだけだろ」
若干の苛立ちを奥歯で噛み殺しながら、ジッと睨みつける。…思い上がるなよ、ユースタス屋。あいつは誰にでも優しいからな。てめぇにだけじゃねェ。
すると、廊下から慌ただしい足音が聞こえてきた。
『遅くなっちゃいました！ごめんなさい！！ちょっとルフィとご飯食べてて…』
ユースタス屋が、遅ェよ、と軽くAの頭を小突く。痛いですよぉ、と言いつつ満更でもなさそうなA。
…おい、ユースタス屋。その自慢げなツラは下げてもらおうか。それと、Aを勝手に肘置きにしてんじゃねェ。
ﾛｰ「おい、いつまで突っ立ってんだ？本を借りにきたんだろうが、てめぇは」
『あっ、そうでした！ローせんぱ…』
グイッとAの手を引いて、強引に教室内へ引っ張った。同時に、Aの袖口からブレスレットが覗いているのに気づく。…オレがあげたやつだ。
『あ…コレすごく気に入ってて…本当にありがとうございます！』
ﾛｰ「…別に、大したモンじゃねェ…」
何も知らず嬉しそうに笑うA。
その後ろでは、ユースタス屋が面食らった顔をしている。気に食わねェ、とでも言いたげだな。
さっきの仕返しだ。
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
