初恋だった ページ38
緑が茂る小さな家。ぼんやりとした日の光の下で懐かしい光景が広がる。玄関の扉からダダンさんの姿が見えたところで、ようやくこれが夢の中だと気付いた。
『ここは…』
私たちが育った場所だ。厳しいけれど優しいダダンさん一家の元で私たちは出会った。
大切にしまい込んでいた輝かしい日々の記憶。
「A！こっちだよ」
「ったく、何してんだ…早く来いよお前ら」
目の前には、フワフワの金髪と無愛想な黒髪。私の腰に腕を巻きつけているのは麦わら帽子。
振り向いた二人の手を掴もうと、私は両手を前に伸ばした。
『にぃに…』
出た言葉はそれだけ。二人の少年たちは小さく笑って私の手を握った。
眩しかった。嬉しかった。
ただひたすら、二人の背中を追いかけていたから。
恋にも似た感情だった。それほど二人の兄が大切だったから。
これがきっと、初恋だったから。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ｴｰｽ「昔、Aがオレ達を「にぃに」って呼んでた事があったよな…」
ｻﾎﾞ「小さい頃な…あれ？そう呼ばれてたのオレだけじゃなかったのか？」
ｴｰｽ「勝手に記憶を変えんなよ…二人ともだっただろ？」
Aもルフィも寝静まった頃。オレ達二人はこうやってたまに昔話をして語ってる。エースの言う通り、Aはオレ達二人を「にぃに」と呼んでいた。
ｻﾎﾞ「…あれは可愛かった」
ｴｰｽ「よくルフィと一緒に後ろからついて来てたよな」
あれから随分経つな、なんて思い出に浸りながら、冷蔵庫に残っていた酒瓶を空けた。
あの頃と変わらない。オレ達は家族だ。これからもずっと。
ｴｰｽ「…オレ達はずっと「にぃに」なんだよ…」
ｻﾎﾞ「……酔ってんのか？エース…」
うつろな目で苦笑いを浮かべるエース。何も答えずに部屋に戻っていった。残されたオレは酒が回る頭で、もう一度昔を振り返る。
ｻﾎﾞ「…オレ達は兄貴で…永遠にそれは変わらない…」
森に囲まれた古びた家。賑やかなあいつら。大切な兄弟。
そこにAがいた。
ひたむきで純粋なその笑顔に目を奪われることもあった。
守りたい、傍にいたい。
そう願って、
誰にも渡したくない、オレだけが見ていたい。そう思った。
心が熱くて傷む日も、笑顔を見れば癒える気がした。
景色が輝いて見えて、毎日Aの事ばかりを想った。
_____初恋だった。
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
