不意の偶然 ページ35
週の終わりにはバイトを入れずにおいた。その日の放課後に、いつもの空き教室へ向かうからだ。
『ロー先輩……？』
教室の端にある机の所でロー先輩は眠っていた。差し込む西陽が先輩の顔の半分を照らし出し影を作るからか、端正な顔立ちが際立って見える。
『…寝てるんですね』
いつもは睨むような目つき(もう慣れてしまったけれど)、でも眠っている時は、その寝顔をぶしつけにも近づいて見たくなってしまう。
隈のある目元。通った鼻筋。いつもニヤリと笑う口は、今は緩やかな弧を描く。外れかけた帽子から覗く黒髪に、思わず手を伸ばしかけた。
『先輩、帽子…外しましょうか…？』
今思えば、この時キョリが近すぎたのだ。息のかかるような、目と鼻の先に居たのだから。
帽子に手をかけた瞬間___
急に体を起こしたロー先輩とそれをよける事が出来なかった私は、ぶつかる小さな衝撃と共に、互いの唇が重なってしまった。
『……？！？！』
ﾛｰ「…っ」
頭が真っ白だった。顔中に熱が集まって、火照った頬が緩む。それに気づかれないように、必死で口元を隠すが、余計にさっきの出来事を思い出してしまう。
ようやく、ぶつかった事による唇の痛みに気付いて、意識が戻ってきた。
『あの…お怪我はないですか？今の…その…』
ﾛｰ「ああ、事故だ…ケガもねェ」
お前こそ大丈夫か？、とロー先輩の低い声が響く。大丈夫…なわけがないけれど…
『…私も大丈夫です…驚いて…その、初めてだったから…///』
ﾛｰ「…そうか」
こんな時でもロー先輩は冷静だ。でも、私は不慣れな出来事にどうしていいかも分からない。まだ顔も熱いままだ。いたたまれなくて、私は教室を飛び出してしまった。
でも、嫌じゃなかったんです。嬉しかったんです。好きだから嬉しかった…。ロー先輩は今、どんな気持ちですか…？
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「初めて」だとあいつは言った。
ぶつかった瞬間、オレは「二回目」だと気付いた。
文化祭のあの日、オレは一度、お前の知らない間にキスしているからな。
だから、この程度で動揺するわけねェ。
いちいち気にするわけがねェ。
それなのに…
ﾛｰ「クソッ…あの顔は反則だろ…っ///」
真っ赤になったあいつの顔が脳裏に焼き付いて離れねェ。完全に不意打ちを食らっちまった。
あいつは何も気付いちゃいねェんだろうが、
平静を装うのも楽じゃねェよ…。
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ルイト(プロフ) - ゾロ好き星人さん» 長らく気付かなくて申し訳ありませんでした！コメントありがとうございます。温かいお言葉を頂けてとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年2月23日 20時) (
レス) id: 977386f903 (このIDを非表示/違反報告)
ゾロ好き星人 - すごくこの作品が好きです！更新頑張って下さい！ (2021年1月14日 14時) (レス) id: e826f147a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイト | 作成日時：2020年12月18日 23時
